2022年11月16日水曜日

ターナーの「奴隷船」

 Turner & The Sea

日経新聞の文化面に連載されている「空を見上げて  十選」シリーズに、ターナーの「奴隷船」が登場した(1 1 / 1 5 付)。記事はこう書いている。『右下には、海に投げ出された死体に群がる魚たち。ターナーの絵画はとうとう「死」を直視した。その「恐ろしい美」によって絵画史が転換した。』


「TURNER & THE SEA」はターナーの海景画の画集だが、この絵についてこう解説している。『台風で海が荒れ狂い、奴隷船が翻弄されている。船の”積荷” を軽くするために、奴隷を生きたまま海に投げ出す。その屍体に魚が群がっている。描かれた1 9 世紀中頃には、奴隷制度への反対運動が高まっていたが、ターナーはその背景でこの絵を描いた。』

ターナーは嵐で荒れ狂う海の風景を描くために、自分を船のマストにくくりつけてもらってスケッチしたというのは有名な話だが、その経験がこの絵に活かされているのだろう。

「TURNER & THE SEA」には、そういう海景画の素材として使われることになるクイックスケッチがたくさん紹介されている。鉛筆や水彩で、2 0 cm くらいの小さいスケッチブックに描いている。見事なものだ。




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