2019年12月22日日曜日

絵画の写真以前と写真以後

「What is Painting ?」by Julian Bell

(前投稿の続き)「絵とはなにか」に面白い話がでてきた。下は両方とも 19 世紀の肖像画で、左がアングルで、右がドガ。両者の開きは 18 年しかないが、この間に写真が発明され、その影響で絵画が大きく変わったことが、この2つから分かるという。


アングルは、「モデルになった貴婦人の偉大さにふさわしい格式ある完璧な姿で再現しました」と言ったという。つまりこの絵は肖像写真の役割をしている。一方ドガは、「用心深いモデルと用心深い肖像画家の出会いの瞬間をとらえたものです」と言ったという。モデルの姿よりも、画家がモデルから受けた印象を描いている。究極のリアル再現の写真が生まれたことで、絵画で対象を「再現」することが無意味になってしまい、画家自身の内面を描く「表現」の時代に入っていく。

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