ギリシャ時代、遠くへ去る恋人の姿をいつでも思い浮かべられるように、ロウソクの光で壁にできた影をなぞって描いている。「なぞる」ことで対象をリアルに再現したのが絵画の起源だという。
影をなぞるよりもっとリアルに描けるようになったのが、ピンホールカメラの原理による「カメラ・オブスキュラ」の発明。暗い部屋の壁に映した像をなぞって描いた。17 世紀頃にはそのポータブルタイプも生まれ、フェルメールが愛用していたのは有名な話。
頭にかぶる ヘッド・マウント・ディスプレイ(?)タイプもあったというから驚く。半透明のスクリーンに映った像をなぞっている。これなら屋外でも描ける。
三次元の対象を二次元の上にリアルに再現したいという人間の欲望で、このような技術開発(?)がされてきた。そして最強のリアル技術である写真が 19 世紀に発明されると、絵画で再現する必要性がなくなり、「なぞる」ことの歴史が終わる。そして絵画の役割は「再現」から「表現」へと変わっていく。
0 件のコメント:
コメントを投稿