2018年5月4日金曜日

ルーブル美術館をデザインした廃墟の画家 ユベール・ロベール

Hubert Robert

今、東京都美術館でやっているプーシキン美術館展にユベール・ロベールの作品が出ている。18 世紀、ロベールは「廃墟の画家」といわれ、ローマ時代の遺跡をたくさん描いたが、すべて空想上の創作で、実際にあった風景ではない。廃墟の寂しさはなく、古代への憧れを描いた絵だ。

ロベールは建築や庭園のデザインもした。フランス革命後にルーブルの王宮が市民に解放され、その中にギャラリーを作るというプロジェクトにも関わった。ガラスの天窓があるアーチ天井の今のルーブル美術館(右)の始まりだ。その完成予想図(下左)の絵があるが、面白いのは、そのルーブルが千年後に廃墟となった姿(下右)を同時に描いている。瓦礫のように残った彫刻を画家が模写している光景で、廃墟になってもなお続く芸術の永遠性を表現している。


またパリで火事などがあると、報道カメラマン的に現場の光景(下左)や、燃えた建物の取り壊しの光景(下右)を描いている。いわば廃墟ができる過程をリアルタイムで描いているようなもので、やはり「廃墟の画家」だ。
( Photo : "Futures & Ruins, Eighteenth-Century Paris and the Art of Hubert Robert" )


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