2018年5月16日水曜日

「この世の終わり」絵画

Tsunami and apocalypse picture

レオナルド・ダ・ヴィンチは、この「没落の最後の光景」のような大洪水をたくさん描いた。聖書にある、神が怒り大洪水を起こして人間を滅ぼすというこの世の終わりの恐ろしい光景で、ダ・ヴィンチでさえも終末を恐れていたという。このような終末絵画は西洋絵画のイメージの源泉として、ずっと描かれ続けてきたが、洪水や津波がもっと多い日本にはなぜこういう絵が無いのだろう。

レジス・ドブレというフランスの思想家の「大惨事と終末論」という本を読んでいたら、津波や原発事故などの大惨事に対する日本人の態度について触れていて、終末絵画が日本に無い理由が分かった気がした。

『試練における多くの日本人の平静さと我慢強さは、あらゆるものの儚さや移ろいやすさに対する仏教的感情によるものである。日本人ならほんの幼い頃から知っていること、すなわち、みずからの国土が不滅ではなく、生が移ろいやすく、どんな幸福も儚く、木造の神社のように二十年ごとに破壊され再建される。そして、人間は残酷な神の玩具でしかないということを改めて思い出すまでもなく、当然のことのように廃墟から復活へとすべてが進んだ。』 

さらに著者は、石原慎太郎元都知事が震災を「天罰だ」と言って、それは西洋人には普通の言い方だったが、日本人からは大批判を浴びたことにも触れている。日本人にとってはどんな壊滅的な大惨事も特別のことではなく、そこに神の怒りを感じたり、天罰が下ってこの世が終わる、といった感じ方は無いということを言っている。

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