Disney Animation
ディズニーがアニメ映画というジャンルを確立してから 80 年くらい経つが、絶大な人気を保ち続けながら反面で批判にさらされ続けてきた。現実のリアルな問題は無いことにして、愛に満ちた”美しい夢の世界” をスクリーン上に描いてきた。それは結果的に、差別、格差、暴力といった現実の問題から人々の目をそらすことになってきた。特にほとんどすべての作品で人種差別的な表現が登場することが批判を浴びて「暗黒ディズニー」とまで呼ばれている。しかし多様化社会が叫ばれる現在、さすがにこれはまずいと思い始めたディズニーは対応を始めていて、それにはいくつかの方法がとられている。
⓵ 一つめは、過去の作品の差別部分を削除や修正をして新版のビデオを売り出すこと。「ファンタジア」(1940 年)というアニメもその例で、白人の女の子が黒人の男の子に足を洗わせている場面があり、黒人が奴隷だった時代の差別の名残りが色濃く反映されている。しかし二人とも楽しそうな表情に描くことで、それは虐待や奴隷労働ではなく、黒人は不幸だったわけではないと言っている。(じゃあなぜ女の子は手にムチを持ってるんだ・・笑)この場面は現在はカットされている。
⓶ 二つめは、作品全体が差別的で修正できない場合、その作品自体を抹消してしまい、ビデオでもネット配信でも見られないようにしてしまうこと。映画史上最悪のアニメのひとつとされる「南部の唄」はこれに当たる。奴隷制時代の南部の農園が舞台で、召使いの黒人が、農園主の子供たちに昔話しを語って聞かせるという牧歌的な映画だ。ところがこのアニメは、黒人が奴隷として強制労働させられていた事実など無かったかのように、歴史を改変をしているとして、猛烈な批判を受けてきた。それであらゆるアーカイブからこの作品を消し去って、こんな映画はもともと存在しなかったというふりをしている。つい最近、ディズニーランドの人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」が廃止になると発表されたことが話題になっているが、「スプラッシュ・マウンテン」は「南部の唄」がモチーフになっているからだ。
③ 三つめは、どうしてもオリジナルのまま見せなければならない場合。ビデオの冒頭に、『この作品は、過去に蔓延していた偏見にもとづく描写が含まれていますが、現在では時代遅れの誤ったものです。』という ”お断り”(または言い訳け?)の字幕を付け加えること。
⓸ 四つめは、過去のアニメ作品をリメイクした実写版を作って、脚本をガラリと変えてしまうこと。今度の実写版「リトル・マーメイド」もそれで、アニメ版では白人だった人魚姫を黒人女性に変えて、思い切り美しい「共生」物語を描いている。
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