2023年1月16日月曜日

「反逆の神話」

「Why the Culture Can't be Jammed」 

「反逆の神話」は、カウンターカルチャーが既存文化に対して反逆するものとして始まるが、すぐに社会に取り込まれて利用され、反逆性を失ってしまうことを論じている。

ヒッピーに代表されるカウンターカルチャーは、資本主義経済とアメリカ社会の消費主義文化に反逆する文化だった。例えば、1960 年代から 70 年代にかけて、アメリカで VW のビートルがたくさん走っていたが、乗っているのはヒッピーたちだった。無駄だらけのバカバカしい「アメ車」をあざ笑って、物質的な富ばかりを追い求める消費主義文化を批判していた。

しかし、カウンターカルチャー自体が消費主義文化に取り込まれて、逆にそれを増長する役目を果たしてしまう。例えばジーンズは労働者が着る作業着を普通の若者が着ることで、スーツとネクタイの文化への”反逆”として始まったが、しかしホワイトジーンズやら女性用ジーンズやら穴あきジーンズが生まれ、たちまちジーンズの”反逆性” は消えて、ただの ”カッコいい” ファッションになってしまう。それによってファッション業界は大儲けする。

アウトドア・オーディオが初めて世に出た 1 9 7 0 年代の広告の例も思い出す。女の子のファッションに対して、伝統文化の象徴である浴衣姿のおじいさんに「イカン」と言わせることで。カウンターカルチャー性を強調している。しかし「イカン」というほどのカウンターカルチャーの”反逆性”はなく、”カッコいい” ファッションのシンボルとして、製品のイメージ作りに利用されている。

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