Railway painting
東京ステーションギャラリーで開催中の「鉄道と美術の 1 5 0 年」展を観たが、なかなか面白い。「鉄道」という言葉と「美術」という言葉が生まれたのが、ともに 1 5 0 年前だそうで、そのふたつを通して、日本の近代化の歩みを見ることができる。展覧会は日本の絵画だけだが、鉄道を描いた西洋の絵画を見てみた。時代順に並べてみると、鉄道が科学技術進歩の象徴として描かれた時代から、逆に近代化の負の側面として描かれるまで、時代の流れを感じる。(以前に一度投稿したものの再掲)
「雨、蒸気、速度:グレイト・ウエスタン鉄道」(1 8 8 4 年)
蒸気機関車を描いたターナーの名作。列車が降りしきる雨を切り裂いてばく進している。近代的な科学技術のシンボルとしての機関車への賛美であることは、題名からもわかる。
「サン・ラザール駅の外、列車の到着」(1 8 7 7 年)
印象派の人たちは、近代的な都市の風景を描くようになる。モネは機関車や駅などをモチーフにした連作を描いた。蒸気を吹き上げる機関車がいきいきと描かれている。
印象派の人たちは、近代的な都市の風景を描くようになる。モネは機関車や駅などをモチーフにした連作を描いた。蒸気を吹き上げる機関車がいきいきと描かれている。
「村を通過する赤十字の列車」(1 9 1 2 年)
2 0 世紀初頭、近代産業を賛美したイタリアの「未来派」たちの一貫したテーマは、「スピード」だった。ウンベルト・ボッチョーニのこの作品では、煙を上げて疾走する列車と、後ろへ飛んでいく風景の断片がコラージュ風に描かれている。
「北方急行」( 1 9 2 7 年)
ツアー旅行が盛んになった時代、カッサンドルは、列車や船をモチーフにした観光ポスターをたくさん描いた。ローアングルと、極端なパースで、蒸気機関車のスピード感と力強さを、アール・デコのスタイルで描いている。
キリコは、現代社会の不安を描いたが、機関車や駅舎などがたびたび登場する。この絵では、廃墟のような無人の工場の向こうに、煙を出している機関車が小さく見えている。
ポール・デルヴォーは、ローマ時代風の建物と汽車を組み合わせた絵が多いが、”過去への追憶” を描いているようだ。この絵は、無人のホームで、走り去っていく貨車を見つめる少女が夢幻的に描かれている。
エドワード・ホッパーは、都会の孤独と寂しさを描いたが、よく登場する蒸気機関車や線路も、ノスタルジックではなく、都市の無機質さとして描いている。この絵では、無人の駅のホームに列車が止まっていて、背景は殺風景な工場だ。
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