2020年9月7日月曜日

フェルメールの食器の遠近法

Vermeer

静物画の食器で、皿やグラスなどよりも、コーヒーカップ、ジョッキ、ポットなどの取っ手のついた食器は正しく描くのが難しい。本体と取っ手の関係がおかしくなりやすいからで、しかも狂っていることが一目でバレやすい。

このポットの絵で、取っ手は注ぎ口と 1 8 0 度反対側にあるはずだが、手前に角度がついているように見える。注ぎ口を含み、胴体の中心軸を通る平面上に取っ手も乗っていなければならない。正しくは白い点線のように見えているはず。(この取っ手が特殊でなく、普通の形をしている前提だが)

遠近法が正確なフェルメールは、部屋や家具だけでなく、細部の小さい物まで正確に描いている。「牛乳を注ぐ女」でも、牛乳のピッチャーの取っ手と注ぎ口は円の中心線上にぴったり乗っていて、かつ 1 8 0 度反対の位置にある。これは口が正面を向いているから易しいとしても、斜めから見ているパン籠も正確だ。両側についた取っ手がぴったり円の中心線上に乗っていて、かつ正対して向き合っている。作図すると正確さが確かめられる。


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