2020年9月13日日曜日

「ムーラン」 世界を ”ディズニー化” するディズニー映画

「MULAN」and  "Disneyfy"

ディズニー映画「ムーラン」がエンドロールで、ウィグルでのロケ支援に中国政府へ謝意を表したため、世界から批判を浴びている。

予告編を見たが、映画は露骨なくらい中国市場をターゲットにしていることが分かる。制作途中で、セットが本物の中国らしくないと中国側から注文がついて、撮り直したりしたそうだ。また中国系アメリカ人の主演女優が香港問題で、中国政府を支持する発言もした。

ディズニー映画が「夢とファンタジーに満ちた善の世界」であることと裏腹に「欺瞞的な娯楽で儲ける金儲け主義の権化」と今までも批判されてきた。「暗黒ディズニー入門」(高橋ヨシキ   2 0 1 7 )はディズニー映画の裏に隠された闇を解き明かしている。

ディズニー初期のアニメ「南部の唄」は人種問題で批判を浴びたことで有名だ。白人の子供と黒人の使用人との心温まる交流を牧歌的に描いた映画だが、奴隷制度時代が舞台なのに、人種差別など無かったかのように描いているとして、反人種差別団体からボイコットされた。

「ディズニー化する」という意味の「Disneyfy」(ディズニファイ)という造語があるそうだ。物事から「不快さ」や「政治や宗教などの問題になりそうな要素」を取り除いて、人々にとって受け入れやすい状態にする、という意味だ。しかし「ディズニー化」はいいことばかりでない。歴史的事実や、現実に存在する問題を無かったことにすることがある。「南部の唄」がそれだった。

「ムーラン」もそれに似ているようだ。必然性がないのに、わざわざウィグルでロケをしておいて、「ディズニー化」することで、人権問題など無いことにしている。おかげで中国政府の支援を受けられたのだろうが、それがエンドロールでバレてしまったということだろう。  


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