よく「絵になっていない。」と酷評されてきたが、「絵にする」とはどういう意味なのかなかなか理解できないでいたが、この言葉で分かりかけた気がした。風景の写生や人物のデッサンは、いくら上手くても、描いているだけで表現していないから、絵になっていないと言われることになる。
見たものの写実をしながらも、見えてはいないが自分の感じた何かを表現する。表現するとは、対象の本質を見つけることだから、見えている具体的な姿からは離れていく。「描くこと」の主体は対象側にあるが、「表現すること」の主体は人間側にある。それは写実でありながらも、程度の差こそあれ、なんらかの抽象化につながるから、具象か抽象か、といった画一的な議論はあまり意味がない。
モンドリアンも、りんごの樹を描き続けて、抽象絵画の元祖になった。
0 件のコメント:
コメントを投稿