2019年5月17日金曜日

絵とは?

ある絵仲間どうしの、絵とは何かについての会話が興味深かった。ある人が、絵とはモチーフを正しく描くことで、抽象絵画など無意味だ、といきまいていた。しかし別の人が言ったことの方が、ストンと腑に落ちた。「絵とは、見たものを描くことによって、見えないものを表現することだ。」

よく「絵になっていない。」と酷評されてきたが、「絵にする」とはどういう意味なのかなかなか理解できないでいたが、この言葉で分かりかけた気がした。風景の写生や人物のデッサンは、いくら上手くても、描いているだけで表現していないから、絵になっていないと言われることになる。

見たものの写実をしながらも、見えてはいないが自分の感じた何かを表現する。表現するとは、対象の本質を見つけることだから、見えている具体的な姿からは離れていく。「描くこと」の主体は対象側にあるが、「表現すること」の主体は人間側にある。それは写実でありながらも、程度の差こそあれ、なんらかの抽象化につながるから、具象か抽象か、といった画一的な議論はあまり意味がない。

モンドリアンも、りんごの樹を描き続けて、抽象絵画の元祖になった。

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