Sense of Scale
横須賀美術館でやっている「スケール感」に焦点を当てたこの展覧会、とても面白い。ガリヴァーのように人間が拡大・縮小した時、世界はどう見えるか、をテーマにした作品を集めている。
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スケッチ A 紙の筒でのぞく スケッチ B |
ものの大きさを人間はどう見ているか、というスケール感について面白い話がある( 以下、B.エドワーズ著「内なる画家の眼」より )。同じ大きさの二つのリンゴを、テーブルの手前と向こうに置いてスケッチをすると、ほとんどの人が スケッチA のように描く。その後で、紙を筒にして覗き、リンゴが穴いっぱいの大きさになるように紙を調節して、その時見える大きさで描く。すると驚くことに全員が スケッチB のようになるという。人間は、目で見ている大きさの違いを、脳で修正して同じ大きさにしているわけで、「大きさの恒常性」と呼ばれる。これは遠くにいるライオンが小さいからといって猫だと思ってしまわないようにするために備わった脳の働きだという。
脳には、これとあい反するもう一つの働きがあって、見える大きさの違いによって距離を判断している。錯視の問題でよく出てくるこの図で、人間の大きさは同じなのに、後ろの人間ほど大きく見えてしまうのは、同じ大きさのものは遠いほど小さく見えるという「距離の知覚」がもとにあるからで、遠近法のベースにもなっている。
人間は、これら二つをうまく使い分けて世界を見ているわけで、脳の働きはうまくできている。
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