Perspective of floor tiles
ホーホのこの絵は、消失点が極端に左に寄っていて、女性の背中あたりにある。そのため、女の子あたりより右のタイルは歪みが大きく、正方形に見えない。
同時代のフェルメールは、視野周辺の歪みに気づいていたので、それを減らすために消失点をできるだけ画面中央に置いたり、周辺のタイルを物で隠すなどの工夫をした。
現在の研究では、平面投影での画面周辺の歪みについて、視角が 40 度くらいを超えると正方形が正方形に見えなくなると言われている。実際のタイルの床を写真に撮って確かめてみた。ホーホの絵ほどは視角が広くないから極端ではないが、周辺の歪みは確認できる。
しかし球面投影にすれば、歪みはなくなり、周辺まで正方形に見えるはずなので、上と同じタイルを魚眼レンズで撮ってみた。こちらは隅まで正方形に見えている。右奥の遠いところのタイルも、視角が相当大きいのに、正方形を保っている。ただし魚眼だから、当然タイルの列は湾曲している。
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(左上)通常の遠近法
(左下)タイルの対角線の消失点がアイレベルより上にある
(右)この方法を使った雑誌広告のイラスト |
遠近法の本を調べたら、魚眼レンズと似た仕組みで歪みをなくす方法が載っていた。(「How To Use Creative Perspective」) タイルの対角線の消失点をアイレベルより上に持ってくるというのだ。この図を見ると、タイルの横方向の連続は湾曲していて(図の赤線)、魚眼レンズの写真と同じであることがわかる。フェルメールやホーホの ”正しい” 遠近法からすると違反だが、自然に見える。
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