2025年4月17日木曜日

Google への規制強化

 

先日 Google が、独占禁止法違反で、公正取引委員会から排除命令を受けたという報道があった。自社の検索ブラウザを強制的にスマホにインストールさせ、アクセス数を増やして広告の収益を上げるという同社のビジネスモデルが問題にされた。同じような問題が Google だけでなく、「GAFA」 と呼ばれる巨大 IT 企業(Google, Amazon, Facebook, Apple)に対する規制が、日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカでも強化されつつある。

Google について、ある個人的な経験がある。数年前のことだが、ブログに「〇〇について」を投稿してから、しばらくして Google で「〇〇について」を検索すると、自分の投稿が上位3番目くらいに表示されている。悪い気はしないものの不思議だった。どういうアルゴリズムで優先順位を決めているのか公開されていないからだ。その状態が1年近く続いた後に突然終わってしまった。アルゴリズムの変更があったらしいことを感じたが、その理由もわからないままだ。

理由を推測するとこうだ。自分が使っているブログが「Blogger」で、それは Google が運営している ブログサービスだ。だから、Blogger へ誘導して自社へのアクセスを増やすための仕組みだったのではないか。そしてこのように、ユーザー数と投稿数と閲覧数を増やして、自社システムへの関わりを最大化させる仕組みは、Facebookでも行われていて、「いいね!」や「シェア」や「FB 友」がそれだ。

いま世界中で「GAFA」に対する規制が強化されつつあるのは、このような情報の独占と拡散の仕組みが、政治にも影響を及ぼし始めているからだ。これに対して例えば Facebook は「我々は中立的なただのプラットフォーマーであり、恣意的にコンテンツをコントロールしているわけではない」と主張している。

しかしこのような SNS の政治への影響について、ユバル・ノア・ハラリは新著「NEXUS 情報の人類史」で鋭い指摘をしている。例としてミャンマーで、少数民族を弾圧して大虐殺が行われたことに Facebook が大きな役割を果たした問題をあげている。少数民族に対する憎悪を煽るような投稿が大量に投稿されると、人権や民主主義を主張する投稿はかき消されてしまう。しかしこの時、 Facebook は投稿を内容で選別して憎しみを煽る投稿を優先するようなアルゴリズムにしていたわけではない。単に自社のシステムへの投稿や閲覧を増やすことを目標にしたアルゴリズムになっているだけだという。しかし人間は憎しみに満ちた攻撃的な言動にひかれやすいので、そういう投稿が拡散され、増殖していく。その結果が少数民族の大虐殺につながっていったという。

このように、人によってさまざまな意見がある問題に対して、何が「正しい」のかが SNS 上の”多数決” で決まってしまい、それを決めているのがアルゴリズムであることに注意すべきだと、ユバル・ノア・ハラリは言っている。特にこれからの時代は、 アルゴリズムを決めるのが人間ではなく、 AI 自身が決めていくようになると恐ろしいことになると警告している。


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