2025年4月23日水曜日

万博の「ミライ人間洗濯機」

 EXPO  OSAKA

ある TV 番組の大阪万博の紹介で、「ミライ人間洗濯機」なるものが出展されていると知った。写真は大阪市長が自ら体験使用するデモの様子だそうだ。失敗万博と批判されているなかで、なんとか盛り上げようと苦心している。


1970 年の大阪万博で「人間洗濯機」が大人気だったが、「夢よもう一度」だろう。しかし名前は「ミライ人間洗濯機」になったが少しも「未来感」がない。 55 年前と同じで、客寄せパンダ的な「キッチュ」だ。

万博の歴史は、未来の技術と、それによってもたらされる生活の未来を見せる場だった。そして展示物は実際に実現化され、社会の変化に影響をもたらしてきた。しかし近年の万博は遊園地化して、”おもしろ展示” ばかりになってしまった。「人間洗濯機」も同じで、製品化されなかったし、「未来もどき」を作った某電機メーカー自身も「未来」がなく、潰れてしまって今では影も形もない。


かつての万博が未来のビジョンを示す役割をしてきた例として、戦前の 1939 年のニューヨーク万博が有名だ。テーマが「進歩の世紀」で、20 年後の都市の姿を見せることだった。都心の高層ビルに都市経済機能を集中させ、人間の住居は郊外に分散させ、芝生の庭のあるゆとりのある住宅にする。そして都心と郊外の間を高速道路で結ぶ。夫が通勤している間の奥さんの買い物用に、一家で2台の車を所有する。このビジョンを見せるために巨大なジオラマが作られ大人気になる。

「未来」の街のあり方を示し、そこで生活する人間のライフスタイルの提案をしている。そしてこの未来像どうりに実際に高速道路の建設が始まり、郊外に住宅が作られていき、車や電気製品が普及していき、人々の生活が豊かになっていった。万博はただの夢ではなく、「実現する未来」を見せる場だった。


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