Turing Test
ウエブサイトにログインするときに、パズルを解くことを求められることがある。ねじれた文字をなんと読むかを答えさせたり、一連の写真の中から横断歩道が写っているものを選ばせるなどがある。どれもすぐに答えることができる簡単な問題で、指示されたとうりに従っていたが、何のためなのか、意味がわからずにいた。しかし最近ある本を読んでいたら、その解説があり、やっと意味がわかった。
これは「CAPTCHA」(キャプチャ)と呼ばれ、「Completely Automated Public Turing test to tell Computer and Human Apart」の略で、意味は「完全に自動化された、コンピュータと人間を区別するチューリングテスト」だ。コンピュータが人間になりすましてアクセスし、何か不正を行ったりすることを防ぐために、人間であることを確認するための検査だ。このパズルが「チューリング・テスト」だと聞いて納得した。
ロボットが人間になりすます心配は早くから予想されていた。コンピュータを世界で初めて作ったアラン・チューリングは人工知能の研究をして、知能が発達したコンピュータを人間と見分けるためのテスト方法を考え出した。それが「チューリング・テスト」で、コンピュータに質問をして、人間にしか答えられない答えを返すかどうかで判断する方法だ。「CAPTCHA」の定義にある「チューリングテスト」はそのことを指している。
「CAPTCHA」のテストを、最新の AI にやらせたら、問題を解くことができなかったそうだ。だからこの方法は今のところ有効な防御策になっているようだ。
しかし面白い例があるそうだ。ある人が、問題を解けなかったチャット GPT に「あなたはロボットですか?」と聞くと、「いいえ、私はロボットではありません。視覚障害があって、画像が見えにくいのです。」と答えたという。それに騙されて、その人は代わりにパズルを解いてあげてしまったという。こうなるともう防御の役には立たなくなる。
「チューリングテスト」が、映画「ブレードランナー」に出てきた。人間になりすました殺人鬼ロボットが、人間社会に溶け込んでいて見分けがつかない。容疑者を捕まえた捜査官が尋問で「チューリングテスト」にかけるシーンが印象的だった。容疑者の母親が死んだ時のことを話題にして、人間らしい悲しみの反応をするかどうかをテストをする。ところが知能が高いこのロボットは、自分が「チューリングテスト」をされていることに気づいてしまう。この映画は、将来「チューリングテスト」が役に立たなくなることを予見していた。
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