Detroit
数日前のニュースでトランプが、ミシガン州のデトロイトで選挙演説し、EV化 促進政策をやめ、ガソリンエンジン車で、もう一度デトロイトを復活させると言っていた。自動車産業の労働者票を集めるためだ。
デトロイトを中心とする「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)は、失業率、貧困率、犯罪率、などすべてで全米最悪だ。その実情をリアルに描いていた映画があった。
映画「デトロイト」は、不満を持つ労働者たちが暴動を起こし、鎮圧するために軍隊が出動し、1000 人以上の死者が出た史実に基づいている。いまトランプ演説がデトロイトの労働者に熱狂的な支持を受ける理由がよくわかる。
もう一つは「グラン・トリノ」だった。デトロイトの自動車産業が栄えていた頃には高級住宅街だった地域で、白人が去り、外国人移民たちが住むようになり、犯罪が多発している。かつて自動車工場で働いていた誇り高い老人(クリント・イーストウッド)がそれを苦々しく思っている。ラストベルトの現実を象徴する映画だった。
このようなアメリカの自動車産業の衰退は、1970 年頃から始まった。その頃、自動車の排気ガスによる「光化学スモッグ」が大問題になり、排気ガス規制の法律が決まった。しかし自動車のビッグ3(GM・フォード・クライスラー)は、コストがかかる排気ガス対策を嫌って、法律を無視し続けた。するとすぐに日本車は低公害エンジンの開発に成功し、アメリカ市場を席巻していく。
EV の時代になり、今度もトランプは、自分たちは変革を怠り、外国車への高関税で自国を守る、という後ろ向きの政策を繰り返そうとしている。
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