Neanderthal vs Homo sapiens
ベストセラーになっているようだが、とても面白い。人類の誕生以来、様々な人類種が生まれては絶滅していき、最後に我々のホモ・サピエンスだけが生き残ったわけを知ることができる。
ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスより体が大きく、脳も大きかったそうだ。だが、ネアンデルタール人は石と棒をくっつけて槍を作ったのに対して、ホモ・サピエンスはその上をいく投槍器を発明していたそうだ。だから両者の覇権交代が起きた。
ネアンデルタール人も仲間と協働作業するために言葉を話せたが、「木」「川」「鳥」のように今見えているものしか話せなかった。仮定のことや抽象的なことは話せなかったという。そういう脳の認知機能がなかったからだが、では大きい脳を何に使っていたかは謎だそうだ。
絵も同じで、ネアンデルタール人の野牛の絵は素晴らしいが、あくまで見えたものをそのまま描いている。対して、ホモ・サピエンスは頭に浮かんだ架空のものを描けた。人類最初の芸術作品といわれている「ライオン人間」という彫刻は頭がライオンで体が人間という現実に存在しないものだ。今の我々も、見えているものの写生から始めるが、やがて見えていないもののイメージを描くようになる。人類の発達過程をなぞっているようで面白い。