Rapture movie, Apocalypsis
絵画でも映画でも大洪水の恐ろしい光景が繰り返し描かれてきた。人間たちの悪行に怒った神が大洪水を起こして、人類を滅ぼす日が来るという聖書の黙示録に書かれた終末論がそのもとにある。聖書思想のない日本人には、津波や洪水に繰り返し襲われているのに、こういう映画の意味を理解しにくい。
「ディープ・インパクト」では、高さ 1000 m の超巨大津波がニューヨークの高層ビルを一瞬で飲み込む。小惑星が海に墜落した衝撃で世界中が津波に襲われたためで、日本は丸ごと水没してしまう。人はなすすべもなく、今までの自分の罪を悔いて神様の救いを求めてただ祈るしかない。
このような映画は、聖書の根深いところからきているからアメリカ人にとっては非現実的な作り話ではない。世論調査によれば、アメリカ国民の 40 % くらいが 50 年以内に終末が来ると信じているそうだ。特に 9.11 のテロ事件以降はそれが間近に迫っている現実として強く意識されるようになったという。
(「アメリカ映画とキリスト教」による)
この種の映画には、災害が起こる直前に限られた何人かの人だけに救いが来るストーリーが必ず含まれている。選ばれた人たちは「ノアの方舟」に乗って生き延び、悪のない新しい人類世界を再生する。これは聖書の根幹の思想で、「ラプチャー」と呼ばれる。そのためこの種の映画は「ラプチャー・ムービー」と呼ばれる。
「ノウイング」はその典型で、人類最後の時、少年と少女の二人だけに宇宙船の迎えが来るが、乗り込む時うさぎを抱いている。まさに「ノアの方舟」そのままで、やがて二人の間に生まれる子供から新しい人類が始まることを暗示している。
「レフトビハインド」と
「リメイニング」の二つはそのタイトル通り、あとに取り残された側の人たちのストーリーで、今までの不信心を悔い神様に赦しを乞いながら死を待つ。