2024年11月25日月曜日

古い機械

 Old machine

重要文化財、氷川丸のエンジンルーム

1918 年製の技術遺産、造船所で使われていたエア・コンプレッサー

工事現場の錆びたパワーシャベル

2024年11月23日土曜日

廃れたものの風景

Abandoned

廃屋になった漁師小屋(北海道 日高地方)

大破した漁船(オホーツク)

石切り場の廃トラック(宇都宮  大谷石採石場跡)

残雪、元水産加工場の廃屋(北海道 日高地方)

2024年11月21日木曜日

雨の風景、霧の風景

 Rainy day,  Foggy day


水浸しになった森の林道(大沼公園)

晩秋の冷雨(印旛沼)

郊外の夕方の雨(幕張)

朝霧の川のほとり(シリベツ川)

高原の朝霧(伊豆高原)

夏の早朝、朝もやの森(ニセコ)

2024年11月19日火曜日

ホロドモールと映画「赤い闇」

Holodomor

先日(11 / 16)のNHKニュース で、東京の教会で在日ウクライナ人たちによる「ホロドモール追悼式」を報じていた。

「ホロドモール」とは 90 年前、ウクライナがソ連によって穀物を収奪されて、大飢饉におちいった事件だ。穀倉地帯のウクライナにもかかわらず、数百万人のウクライナ人が餓死した。当時のソ連はスターリンの農業集団化政策が失敗していたことが背景にある。だから「ホロドモール」はソ連が人為的に起こした「飢えによる虐殺」といわれている。今では国連決議で、ジェノサイド(民族大量虐殺)だったと認定されている。

ソ連(今のロシアも)は、そんな事実はないと否定していたが、情報統制の厳しいソ連支配下のウクライナに潜入取材してこの「ホロドモール」の真相を明らかにしたイギリス人の新聞記者がいた。その記事によって真実が世界中に知られるようになった。

その史実を描いたのが映画「赤い闇  スターリンの冷たい大地で」(2019 年)だ。世界恐慌だった 1930 年代、ソ連だけが経済が好調で、穀物の輸出までしていたことに記者は不審を抱き、その理由を調べるために危険をおかしてソ連支配下のウクライナに潜入する。すると街中いたる所に餓死者が倒れている。通る人たちは普通のこととして見向きもしない。調べていくとソ連兵が農家から穀物を丸ごと全部を略奪していく惨状を目にする。パン一つでさえ残らずだ。抵抗する者は捕らえてシベリア送りにする。

新聞社はこれを記事にするか躊躇する。当時の国際情勢から、政治問題化する恐れがあるからだ。しかし記者の勇気ある主張で記事になり、世界中に事実が明かされる。


現在のウクライナの戦争でも、ロシアはウクライナ経済の生命線である穀物の輸出を阻止するために、輸出ルートを爆撃している。

2024年11月17日日曜日

公募展のこと

 

公募展に参加して 18 年になる。一般応募で初めて応募したのは 2006 年だった。それから現在まで 18 年たった。振り返ってみると、会員になるまで 10 年かかっている。

一般応募4年間 → 会友5年間 → 準会員1年間 → 会員(現在まで8年間)→計 18 年間 

会員になるまで 10 年とは厳しいようだが、どの公募展でもだいたいそのくらいかかる。ハードルのひとつは作品の大きさだ。公募展の大きさ規定は、だいたいは 30 号以上〜80 号以下くらいのところが多い。ただ大きく描くだけなら簡単だが、問題は内容だ。風景スケッチ的な絵を応募規定に合わせて大きくしただけでは「タブロー」にならないから、テーマ、題材、表現技法などすべてで、絵を変えていかなければならない。それには普通 10 年くらいかかる。


2024年11月15日金曜日

「Whisper Dishes」ささやきの皿

 Whisper Dishes

TV の旅番組で、どこかの国の 「Whisper Dishes」の紹介をしていた。公園にパラボラアンテナのような大きなお皿を向かい合わせに設置してある。1人がお皿の前で小さな声でささやくと、遠くのお皿の前にいるもう1人にその声がはっきりと届く。パラボラアンテナの原理を応用しているが、向かい合わせることで送受信の双方向で会話ができる。日本では見かけないが外国には結構あるらしい。



昔「デンスケ」と呼ばれる録音機で野鳥の声を生録音することが流行した。その時パラボラ型の集音器が使われた。放物曲面の 皿に当たった音が焦点の位置にあるマイクに集まる。Whisper Dishesと同じ原理だ。


そのデンスケや集音器を作っていた会社が面白いものを作ったことがある。オペラやコンサートの会場で音がよく聞こえるようにするための集音器だった。ヘッドフォンのように頭に掛けて、パラボラ曲面の反射板で音を集める。聞こえにくい時に手のひらを耳にあてるが、その手のひらの面積を拡大しているようなものだ。


2024年11月13日水曜日

「情報の歴史 21」の読み方(前回の続き)

How to read the「The Longest Chronicle」 

松岡正剛の「情報の歴史 21」は情報の内容と手段が時代とともにどう変化してきたかを人類史的なスケールのなかで示している。情報に関係した出来事を1年分だけで 500 くらいが見開き2ページに小さい字でびっしりと埋められている。政治、経済、技術、芸術、文化、に分けられた5つのブロックを横断的に見て相互関係に着目していくといろいろなことに気づく。


例として上は 1925 年のページだが、美術に関心のある人だったら、「アール・デコ展」という小見出しに目がいくかもしれない。その近辺に小さい字で「グロピウスの国際建築」「ルコルビジェの輝ける都市」「ブロイヤーの金属パイプ椅子」「ワイマールのバウハウス」などの事項が並んでいる。あまり意識していなかったが、近代建築・近代デザインと同時代にアール・デコは生まれたことがわかる。商業主義的なアール・デコが、機能主義のモダンデザインから枝分かれしたムーブメントだったことに気付かされる。

「アール・デコ展」の右の文化のブロックには「フィッツジェラルドの小説 偉大なるギャッツビー」があげられている。後に映画化された「華麗なるギャッツビー」で、主人公の豪邸が金ピカのアール・デコのデザインで埋め尽くされていたが、なるほど両者は同じ年だったのかと納得がいく。

ギャツビーの下に「カポネとジョセフィンベーカー」の小見出しがある。「アル・カポネ, 密造酒の元締めに」や「ジョセフィンベーカー, パリ初演. レビューの女王として君臨, チャールストン流行」が挙げられている。ギャングや犯罪や退廃的なキャバレー文化の '20 年代だ。そういえばギャツビーも怪しげな裏社会で稼いで金持ちになったというストーリーだった。

一番左の政治のグロックには「ドイツ復興とヒトラー」と「ムッソリーニとスターリン主義」の小見出しがあり、「ドイツの大統領選でワイマール連合敗北」や、日本の「治安維持法公布」もあげられている。この年は全世界的に全体主義が台頭し始めた年だったことがわかる。科学技術のブロックでは、後に原爆の基礎になる「ハイゼンベルク, 量子力学の基礎的研究」があげられている。やがて戦争の時代へ突入していき、上記のようなさまざまな自由な芸術や文化が抑圧されていく時代を予兆させている。

このように、個々の出来事はすでに知っていることでも、それらを横断的に見て、関連付けることで、その時代全体を俯瞰的に知ることができる。これが松岡正剛のいう「関係の発見」だ。