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2020年3月11日水曜日

美人 A I は人間を好きになれるか



進化した A I が、どれだけ人間に近ずけるか、というホットな関心事が、映画でも取り上げられている。女性 A I が登場する映画で、彼女たちは人間を好きになるだけの「心」を持つのか、ラストシーンで結果がわかる。

「ブレード・ランナー」 人間と見分けがつかないロボットを捕まえて破壊する役目の捜査官が主人公だが、美人 A I ロボットと心を通じ合う。ラストは、主人公が彼女と二人で、車でドライブして走り去るシーンで終わる。

「トロン・レガシー」 人間に敵対的なA I ロボットたちのヴァーチャル世界に迷い込んだプログラマーが、好きになった美人 A I を連れて現実世界に戻ってくる。ラストで、主人公がバイクに彼女を乗せて走り去る。

両方とも二人でドライブという同じラストになっている。プログラムされただけの A I にも、人間的な「心」が生まれてくる(実際に将来そうなるかどうか知らないが)という物語で、ラストシーンがその象徴になっている。

「エクス・マキナ」 美人ロボットが人間的な感情があるふりをして人間を騙し、最後に冷酷に人間を裏切る。ラストは上の2作と対照的で、人間を山奥の施設に閉じ込めて、迎えのヘリコプターに一人だけ乗って立ち去る。

「Her」 P C の中の女性 A I が、人間的な感情も意思も持っていて、優しい声で語りかける。彼女を好きになってしまった男が、最後に、同じ A I を使うユーザーが何千人もいて、自分だけの「彼女」でないことに気付き絶望する。

こちらの2作は、 人間的な「感情」を持つまでに進化したA I が、人間と心を通じ合えるようになるが、それはあくまで心のある「人間のふり」をしているだけ、ということに最後に気づかされる。 A I に対する悲観的な見方で、こちらの方が現実的かもしれない。

なお、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは、もっと辛辣なことを言っている。人間自身だって所詮は「ふり」をしているだけで、その「ふり」という「見かけ」を他人が気に入れば、友達や恋人になるのだから、 A I も人間も同じだと言っている。この見解には最新の生命科学の根拠があって、「好き・嫌い」とか「喜び・悲しみ」といった「人間的な感情」は、脳の中の生化学的アルゴリズムによって決定されているにすぎないということが分かってきたからだという。

2020年3月4日水曜日

人間対 A I ・・映画「エクス・マキナ」の予言

Ex Machina

人間の仕事が A I に奪われるようになって、「知能」では A I  にかなわないから、 A I にはできない「人間性」が必要な仕事にシフトしなければ、と言われる。しかし、その考えは甘く、 A I はもっとはるかに「人間を脅かす」存在になるだろう、と予言しているのが、映画「エクス・マキナ」だ。

天才プログラマーが、自分が作った女性 A I ロボットと2人で山奥の研究施設で暮らしている。その A I の実力を試すことを依頼されて、若い男がやってくる。この A I  が人間的な「感情」を持っているかどうかをテストするのだが、恐ろしい結末が待っている。

この女性 A I は、自分に対する恋愛感情を若者に抱かせてしまう。感情があるふりをして人間を罠にかけるのだ。 A I が人間の「感情」について学習して、人間のふりをするというのはあり得そうで怖い。人間の「人間的」な部分は A I にはできないだろうと安心できないことになる。そして映画では、 A I が「欲望」を満たすために、自分を作ったプログラマーを裏切る。

最新の生命科学の研究では、人間の「感情」「直感」「欲望」などの人間にしかないと思われていた性質も、脳の中の生化学的なアルゴリズムに過ぎないということが分かってきたという。そうであれば、 A I がそれを解読できない訳はないわけで、この映画は現実味を帯びてくる。

2020年1月27日月曜日

「未来と芸術展」にあったビデオ作品

「Future and the Arts    AI, Robotics, Cities, Life」

「未来と芸術展」でもう一つ注意を引かれたのは、ビデオ映像の出展物だった。ある A I のアルゴリズムが結果的に5人の人間を殺してしまい、 A I が被告として裁判にかけられる。A I が有罪か無罪かを陪審員たちが議論する、という架空ドラマだ。この場面の字幕のように、A I が「感情を理解したり、善悪の判断能力があるかどうか」が議論の焦点になる。


ロボットが人間と敵対するというS F 映画は無数にあるが、このビデオはそれと共通したところがある。歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリは、「今日の S F 映画の罪は、ロボットやA I が人間と戦争するのではないかという過剰な心配を抱かせることだが、それは知能と意識を混同しているからだ。」と言っている。このビデオの場合でいうと、A I は憎しみや怒りといった「意識」で人を殺したのではなく、学習した「知能」によって論理的な判断をして殺しただけ、ということになる。

だからハラリは「恐れるべきはA I ではなく、A I によって強力な力を持った少数の人間である。」と強調する。ハラリ自身は言っていないが、どこかの独裁国家がビッグデータによる高度なA I を使って、国民を監視する超管理社会を作るのではないか、といった最近の報道のことを思いだす。

2019年12月10日火曜日

横浜の「外国製」

Technology from overseas

明治・大正・昭和にかけて、外国から輸入された当時のハイテク工業製品の遺産が現在も横浜に残っている。急速に進む近代化に技術が追いつかず、外国に頼っていた様子がよくわかる。


現在は遊歩道になっている「汽車道」は、横浜駅と赤レンガ倉庫を結ぶ貨物線の線路だった。
鉄橋の銘板に「American Bridge Company of New York  1907」とある。こんな物まで外国製だった。


「赤レンガ倉庫」には日本初の貨物用エレベータがあって、そのモーターが残っている。
上端にレリーフで「Otis Elevator Company」の字が読める。今でも有名なあの「オーチス」だ。

「日本丸」のある場所はかつて造船所だった。100 年前、そこで動力に使われていた
エアー・コンプレッサーが残されている。「Chicago Pneumatic Tool Co」というからシカゴ製だ。

1930 年竣工の「氷川丸」のエンジンは、当時発明されたばかりで最先端のディーゼル・エンジン。
デンマークの B&W という会社製で、「Burmeister & Wain Copenhagen」とある。

2019年3月1日金曜日

最新 AI が描いた絵

Painted  by AI

先日のニュースで、 AI が描いた絵が 5000 万円近くの高値で落札されたという話があった。14 世紀から 20 世紀までの約1万5千点の人物画をもとに、最新のディープラーニング技術を使って描かせたものだという。

2年くらい前のAI のレンブラントの絵は、レンブラントのすべての人物画の特徴を学ばせて、レンブラント風の「新作」を描かせたものだった。それに比べると、上の作品は「誰々風」ではなく、かなりオリジナルになっている。AI 技術の進歩は想像以上に早いようだ。絵画だけは AI に代わられないと思いがちだが、画家が失業したり、絵画教室の先生も AI になり、「君たちオリジナリティが無いね。」などと言われたりする日も近いのかもしれない。

2019年2月15日金曜日

「工事中!」展

Exhibition 「The "Under Construction"」

日本科学未来館で開催中の「工事中!」展が面白い。ふだんあまり見かけない最新型の重機を見ることができる。デジタルの時代に「いかにも機械!」の形が残っている貴重な分野だと思う。






2018年12月28日金曜日

「日本を変えた千の技術博」展

Exhibition "Japanese history of technology"

もう明治の初めに、ほとんどすべての西洋の技術を日本が吸収していたことがわかる。その後150 年間の歴史を見ることができる。(国立科学博物館、~ '19. 3. 3.)

八木アンテナの展示があり、有名な話を思い出した。戦時中、零戦が負けるようになったのはアメリカの戦闘機がレーダーを搭載してからだった。そのレーダーには「八木アンテナ」が使われていた。八木博士が発明した小型高性能の「八木アンテナ」を使えば戦闘機用のレーダーが作れるという提案は日本でも早くからされていた。しかし軍はそれが日本の発明で「外国では使っていない」という理由で却下していた。技術とは外国から学ぶものという明治以来の習性がしみついていて自国発の技術を評価することができなかった。

それとそっくりの話が最近の新聞に出ていた。本庶さんがノーベル賞をもらうより前のこと、その研究をもとに新薬を作ることを日本の製薬会社に働きかけたがまったくやる気がなかったという。しかしアメリカの会社がやりたいと言ってきたのを知ると、その会社もあわてて動き出したそうだ。