2016年9月28日水曜日

「杉本博司ロストヒューマン」展

Exhibition "Hiroshi Sugimoto, Lost Human"

「杉本博司ロストヒューマン」展(東京都写真美術館)へ。一番面白かったのが廃墟になった映画館のシリーズ。ライトは使わずスクリーンに映画を投映して、その明るさが周囲をかすかに照らすのを2時間くらいの長時間露光で撮っている。崩れた壁や床のがれきなどがうっすらと見える。スクリーンはどうせただの白にしかならないのに、投映する映画にこだわり、展覧会のテーマ「文明の終わり」に沿った作品を選択したという。例えばこの場合は核戦争で人類が絶滅するという有名な「渚にて」だそうだ。

《パラマウント・シアター、ニューアーク》 (スタンリー・クレーマー『渚にて』1959) 2015年  
©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

2016年9月22日木曜日

「美術の窓」誌

"The Window of Arts" magazine

「美術の窓」誌(10月号)に公募展出品作が掲載されていた。意図を汲み取っていただいた評でうれしい。




2016年9月17日土曜日

エッシャー展

M. C. Escher  Exhibition

久しぶりのエッシャー。めまいのようなものを感じながらも食い入るように見てしまう。有名作品はほとんどすべて出展されている。(横浜そごう美術館 〜10 / 10 )

平面を繰り返し模様で埋め尽くす例の「平面の正則分割」の発想のもとになったのはスペインのアルハンブラ宮殿のモザイク模様だった。通いつづけて大量のスケッチをして、その原理を習得した。





2016年9月12日月曜日

ヒュー・フェリスの描いた未来都市

"The Metropolis of Tomorrow" by Hugh Ferriss

注文していた「The Metropolis of Tomorrow」が届いた。作者のヒュー・フェリスは大学で建築を勉強したが設計者にはならずレンダラーになったというユニークな人。1920年代、建設ラッシュ中だったニューヨークの摩天楼のビルを描いた。彼のレンダリングは単なる完成予想図ではなく、未来の都市のイメージを描いていたので、当時の高層建築の設計に大きな影響を与えたと言われている。

ところが明日の輝かしい未来都市を描くという彼の意図とは別の見方が現在ではされている。暗く不安な絵は滅んでいく現代の都市を予言していたという解釈だ。実際、彼の都市イメージは暗い未来を描いた多くの映画の映像に引用されてきた。「ブレードランナー」や「バットマン」などを思い浮かべるとピンと来ると思う。


2016年9月7日水曜日

旧新橋停車場

Japan's first railway station  (1872 )

ずいぶん久しぶりで汐留へ行ったら、いつの間にか超高層ビルが林立していた。その谷間に堂々とした古典的石造建築の旧新橋停車場が再現されている。明治5年に新橋〜横浜間に日本初の鉄道が出来た時とぴったり同じ場所だそうだ。


この鉄道はイギリス人技術者の設計だそうだが、当時のプラットフォームや線路も再現されている。そこで面白いものを見つけた。レールを枕木に固定する金具が凝っている。ボルトをオフセンターにした物理的根拠は分からないが、曲面をうまく使ったなかなかのデザインだ。よく見えないが「CV・・・」というメーカー名?が書かれている。現在のレールは単純に太い釘で止めているだけだが、150年前のこれはずいぶん力が入っている。


2016年9月2日金曜日

バス停のデザイン

Bus-stop design

自宅の最寄りのバス停だが、このスタイルは横浜や神戸をはじめ各地に広まっている。発祥の地はパリで、フランスの広告代理店の J Cドゥコーという会社がこれを始めて、日本にも進出してきた。だから広告がついているのがポイントで、この会社が広告収入をもとにバス停の設置から維持管理までやってくれる。バス会社側は費用負担がないから大歓迎だ。この会社は人の土地を使って広告塔を作り、広告収入で儲けているわけで、うまく考えられたビジネスモデルだ。