2016年5月27日金曜日

パステル「工場幻影」

Pastel "Factory Illusion"

しばらく前に描いた絵だが、公募展に出して受賞した。ここのところ工場モチーフをいろいろとやってみている。工場はあまり「絵になる風景」とは言えないが、それをなんとか絵にしようと考えるのが面白い。
ソフトパステル、モデリングペーストで下地、30号(92cm × 65cm)

"Factory Illusion",  Soft pastel on board primed with modeling paste,   92cm × 65cm


モチーフは地元にある近代的な銀ピカの火力発電所
で、時々行っては、さてどうしようと眺めている。



2016年5月22日日曜日

MIYAKE ISSEY 展

Miyake Issey Exhibition


評判がいいようなので遅ればせながら見に行った。三宅一生はファッションというより、工業デザイン的な発想で服を作ってきたことが分かる。( 国立新美術館 )

以前いた会社のユニフォームが三宅一生のデザインだった。必ずしも好きではなかったが、機能性に徹するというコンセプトははっきりしていた。素材が確かパラシユートに使う生地ということだったと思うが、とても薄くて軽かった。袖が着脱可能で、ベストとしても着れるようになっていた。
これを見て気に入ったスティーブ・ジョブスがアップルでもユニフォームを作ろうということで、同じく三宅一生にデザインさせた。これは結構有名な話。結局社員の猛反対にあって断念したのだが、ジョブス自身はそれを自分用のユニフォームとして愛用していた。彼の写真で必ず着ている黒のタートルネックのシャツをがそれ。

2016年5月21日土曜日

「複製技術と美術家たち」展

Exhibition : "Artists in the Age of Mechanical Reproduction"

今でもよくあることだが、巨匠の名画が来ると美術館に行列ができて、やっと会えた「本物」を神様でも拝むような「ありがたい」気持ちでながめる。それはかつて絵が一種のオーラ(下のポスターでいう「アウラ」)を発していた頃の名残りだ。

20 世紀、印刷や写真などの複製技術のおかげで、絵がもっと「普通のもの」になりオーラがなくなる。そのような時代の変化とともに、美術家たちはそれまでの絵を「ありがたいもの」にしていた伝統的価値を根本から破壊する挑戦を始めた。・・・という流れがとてもよく分かる展覧会だ。(横浜美術館)



マティス、クレー、カンディンスキー、モホイ-ナギ、マン-レイ、エルンスト、ウォーホル、など現代美術の教科書に出てきた懐かしい人たちの作品がいっぱいで壮観だ。だが戦後のゼロックスの発明の頃までで展覧会が終わっているので、その後に生まれた「デジタル」というもっと強力な複製技術の時代=現在については触れられていない。続編があるといい。


2016年5月14日土曜日

「バスキアの絵 63億円落札」

Jean-Michel Basquiat


おとといの新聞にバスキアの絵を日本人が63億円で落札したという記事が載っていた。値段が高いか安いかは置いて、下がその作品。バスキアは街のグラフィティから出発して人気アーティストになったがドラッグ中毒で27歳で死んでしまった。


グラフィティ出身ではあるが、落書きの域を脱し、グラフィティは単なるモチーフにして独創的で魅力的な絵を描いた。それにしても最近、グラフィティを見かけなくなったが、海外でも同じらしい。街を「きれいに」の流れの中で、すたれてしまったのだろうか。


バスキアを詳しく知るには、伝記映画「バスキア」と、ドキュメンタリー映画「バスキアのすべて」がおすすめ。

2016年5月9日月曜日

東京オリンピックロゴと市松模様

The Tokyo olympic logo and checkered pattern


東京オリンピックのロゴは、モチーフの市松模様が日本らしさを表現しているとテレビなどで説明されていた。たしかにこの模様は日本でいろいろなところで使われている。建築の分野でも桂離宮のふすまが有名だが、とても日本的で洗練されたデザインだ。

といって市松模様が日本独特のような言い方も一部でされていたがもちろんそんなことはない。欧米でも身近なところではチェス盤やチェッカーフラグなどいろいろある。

フェルメールの室内画の多くで市松模様の床が描かれている。これは同時代の他の画家たちの絵にも出てくる。下の3つはホーホ、ハウクヘースト、バッセンという人の絵だが、やはり床が市松模様だ。こうして見ると、市松模様は17世紀当時のインテリアでかなり一般的に使われていたらしいことがわかる。桂離宮とちょうど同じ時代だ。










2016年5月3日火曜日

歴代オリンピックのロゴデザイン

Olympic  Logo Design

東京オリンピックのロゴが決まったところで、歴代オリンピックのロゴを調べてみた。全て(1924年以降)を並べてみたらこうなった。

       パリ            アムステルダム     ロサンジェルス

ベルリン    ロンドン    ヘルシンキ    メルボルン    ローマ

  東京      メキシコシティ      ミュンヘン モントリオール  モスクワ

             ロサンジェルス    ソウル    バルセロナ    アトランタ   シドニー

アテネ      北京      ロンドン    リオデジャネイロ   東京

こうして見ると、東京(64)を境にして、それ以前と以後で、はっきり変化しているのが分かる。それ以前は開催国のモニュメントなどを具象的に表現した、ポスター的だったり切手的だったりするデザインだった。メッセージを抽象化して視覚シンボルを作るというロゴの考え方は東京から始まったことが分かる。

直近のロンドン(12)とリオ(16)は一見して意味が分からなかったが、よく見ると、それぞれ「LONDON」「RIO」の文字を図形化している。メッセージ性よりも形としての面白さを優先させたデザインで、PC でデザインする時代の特徴なのなのかもしれない。今度の東京(20)も、PC でなければ作れない複雑な規則性をもつ図形がすごいとは思うが、同じ流れだと思う。