Exhibition "The genius of Michelangelo"
今日で終わった「ミケランジェロ展」をギリギリで見た。画家、彫刻家、建築家の1人3役だったミケランジェロの建築に焦点を当てた展覧会。聖堂、図書館、邸宅などのドローイングがあったが、要塞の設計もあった。ミケランジェロも軍事施設を手がけていたとは知らなかった。
フィレンツェの街を要塞化するという仕事で描いた城門の設計ドローイングがあった。日本の城も門の前の通路を複雑にして侵入した敵を四方から集中攻撃できるようになっているが、それと同じことをやっている。この平面図で、細い赤線が銃の射撃範囲を示していて、死角ができないように検討している。
こういうシミュレーション的なことは設計者なら普通にやることだが、天才芸術家のミケランジェロも普通のことを真面目にやっていたことが分かる。このような設計ドローイングは設計者の頭の中が丸見えになってしまうのだが、それを嫌ってミケランジェロは死ぬ前に建築ドローイングをほとんど燃やしてしまったそうだ。天才的ひらめきだけで設計していたと思われたかったのだろう。
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2016年8月28日日曜日
2016年8月25日木曜日
レンブラント リ・クリエイト展
Exhibition "Rembrandt Re-create"
「レンブラント リ・クリエイト展」が面白い。(横浜そごう美術館、7 / 30 ~ 9 / 4 )
レンブラントの有名な大作「夜警」だが、展示場所に入りきれなかったので、勝手に左部分を切られてしまったそうだ。それをずっとみんなが本物と思ってきた。
この展覧会ではオリジナルどうりに再生したものを見れる。左に伸びて横長になり、主人公の2人が少し右に寄ったことで動きのある構図になっている。色の劣化で背景などが黒くつぶれていたのも元どうり明るくなっている。
このように改変されたり劣化した絵を最新の科学的な研究とデジタル技術によって元に戻した展覧会だ。だからこれは複製作りではなく、美術館でやっているような修復でもなく、新しく本物を作りなおしているわけで、それを「リ・クリエイト」と呼んでいる。いわば「本物より本物に近い贋作」だ。
「レンブラント リ・クリエイト展」が面白い。(横浜そごう美術館、7 / 30 ~ 9 / 4 )
レンブラントの有名な大作「夜警」だが、展示場所に入りきれなかったので、勝手に左部分を切られてしまったそうだ。それをずっとみんなが本物と思ってきた。
この展覧会ではオリジナルどうりに再生したものを見れる。左に伸びて横長になり、主人公の2人が少し右に寄ったことで動きのある構図になっている。色の劣化で背景などが黒くつぶれていたのも元どうり明るくなっている。
2016年8月20日土曜日
The Bauhaus
The Bauhaus : Harvard Art Museums
グロピウスなどアメリカへ亡命した作家たちの作品を中心にしたバウハウス・オンラインミュージアムが公開されている。戦前戦後を含む、絵画・建築・写真など約3万点が見れて壮観だ、グロピウスが在職していたハーバード大学の美術館アーカイブによるもの。
http://www.harvardartmuseums.org/tour/the-bauhaus/slide/6451
データ量が膨大すぎて検索にコツがいるが、初めて見る珍しいものがたくさん出てくる。例えば絵画のジャンルでは、クレーのこんなのがあった。何かの習作だと思う。
グロピウスなどアメリカへ亡命した作家たちの作品を中心にしたバウハウス・オンラインミュージアムが公開されている。戦前戦後を含む、絵画・建築・写真など約3万点が見れて壮観だ、グロピウスが在職していたハーバード大学の美術館アーカイブによるもの。
http://www.harvardartmuseums.org/tour/the-bauhaus/slide/6451
データ量が膨大すぎて検索にコツがいるが、初めて見る珍しいものがたくさん出てくる。例えば絵画のジャンルでは、クレーのこんなのがあった。何かの習作だと思う。
2016年8月16日火曜日
横浜のアール・デコ:コレクション
"ART DECO" in Yokohama : Detail
欧米ではあちこちに「アール・デコ同好会」というのがあって、身近にある有名無名の作品を見つけては自慢し合うそうだ。そんなノリであちこち探しながら歩いていると面白い。1925年〜1935年くらいの約 10 年間(古典主義とモダニズムにはさまれた時代)に建てられた建築が目安になる。
アール・デコの造形は、幾何的、対称的、立体的、が3大特徴で、円弧・多角形・階段形・ギザギザ・歯形・扇形・波形、などのモチーフが多い。今まで集めた中からとくに美しいものを選んでみた。
欧米ではあちこちに「アール・デコ同好会」というのがあって、身近にある有名無名の作品を見つけては自慢し合うそうだ。そんなノリであちこち探しながら歩いていると面白い。1925年〜1935年くらいの約 10 年間(古典主義とモダニズムにはさまれた時代)に建てられた建築が目安になる。
アール・デコの造形は、幾何的、対称的、立体的、が3大特徴で、円弧・多角形・階段形・ギザギザ・歯形・扇形・波形、などのモチーフが多い。今まで集めた中からとくに美しいものを選んでみた。
(左)ホテルニューグランド エンブレム (右)横浜文化情報センター 柱頭
(左)三井物産ビル 天井飾り (右)旧ストロングビル 軒飾り
(左)横浜文化情報センター レリーフ (右)翁橋 レリーフ
(左)日本興亜馬車道ビル 壁面 (右)旧横浜松阪屋 エスカレータ
2016年8月9日火曜日
パステル画、現代パステル協会展
Pumice
FBで海外の人たちと作っているパステル画グループのメンバーたちの作品を見ていると、技法について「soft pastel on board primed with pumice」などと書かれている場合がとても多い。「pumice」という砂目の下地材をボードなどに塗った上にパステルを描いている。パステルの紙にはパステル用紙の他にサンドペーパーもよく使われるが、pumice (パミス)はサンドペーパーと同じ状態を作れる。
この下地材は普通は均一に塗るのだが、わざと盛り上げて粗いマチエールを作ると面白い。滑らかなトーンが特徴の普通のパステル画とは違う絵が描ける。今度のパステル公募展で大きい賞をとった人の作品はベニヤ板に直接描いているが、同じようなねらいだ。
明日までの「現代パステル協会展」( ~ 8 / 10、東京都美術館 ) ではこんな新しい表現をトライしている作品が多い。(拙作も小さい賞をもらった。)
FBで海外の人たちと作っているパステル画グループのメンバーたちの作品を見ていると、技法について「soft pastel on board primed with pumice」などと書かれている場合がとても多い。「pumice」という砂目の下地材をボードなどに塗った上にパステルを描いている。パステルの紙にはパステル用紙の他にサンドペーパーもよく使われるが、pumice (パミス)はサンドペーパーと同じ状態を作れる。
明日までの「現代パステル協会展」( ~ 8 / 10、東京都美術館 ) ではこんな新しい表現をトライしている作品が多い。(拙作も小さい賞をもらった。)
2016年8月8日月曜日
横浜のアール・デコ:橋
"ART DECO" in Yokohama : Bridge
横浜のアール・デコについて調べていたら面白いことがわかった。横浜の橋の築年は昭和3~ 4年に集中しているのだが、理由は関東大震災で壊れた橋を一斉に再建したためで、それらは「復興橋」と呼ばれた。効率化のため構造設計は標準化したが、デザインはひとつずつ個性化しようとした。しかし設計者不足だったので東京芸術大学建築学科の学生が動員されたそうだ。一人ずつ各橋を担当して何十もの橋を一斉に作ったが、当時はアール・デコ全盛の時代だからスタイルは皆その影響を受けている。現存している橋にそれを見ることができるのだから面白い。(参考:「橋の空間演出」「横浜の土木遺産」)
そんな橋を実際に巡ってみた。親柱(親柱は橋の構造とは関係ないモニュメント的なもの )のデザインに作者の個性が現れている。
(左)車橋:円柱をテーマにしたエレガントなデザイン
(中)翁橋:いかにもアール・デコのレリーフが素晴らしい
(右)谷戸橋:にぎやかだが少しもっさりしている
横浜のアール・デコについて調べていたら面白いことがわかった。横浜の橋の築年は昭和3~ 4年に集中しているのだが、理由は関東大震災で壊れた橋を一斉に再建したためで、それらは「復興橋」と呼ばれた。効率化のため構造設計は標準化したが、デザインはひとつずつ個性化しようとした。しかし設計者不足だったので東京芸術大学建築学科の学生が動員されたそうだ。一人ずつ各橋を担当して何十もの橋を一斉に作ったが、当時はアール・デコ全盛の時代だからスタイルは皆その影響を受けている。現存している橋にそれを見ることができるのだから面白い。(参考:「橋の空間演出」「横浜の土木遺産」)
そんな橋を実際に巡ってみた。親柱(親柱は橋の構造とは関係ないモニュメント的なもの )のデザインに作者の個性が現れている。
(左)車橋:円柱をテーマにしたエレガントなデザイン
(中)翁橋:いかにもアール・デコのレリーフが素晴らしい
(右)谷戸橋:にぎやかだが少しもっさりしている
花園橋(移築されて現在は港中学校門柱)
最高傑作がこれ。表面的でない力強い構造的な造形。作者の造形力の高さを感じる。
2016年8月4日木曜日
ベクシンスキー
Beksinski
前回に続き本の紹介を。前から欲しかったベクシンスキーの画集を買った。表紙の作品は、うねる海に浮かぶ棺桶のような石の船、切り立った城壁の上部が崩れた廃墟で、そこからはみ出している動物の死骸のようなものは皮膚がはがれ血管がむき出しになっている・・・「終焉の画家」とよばれるとうり、怖い絵だ。日本にはなくて西欧文化の奥底にはっきりとある「恐れ」はいろいろな絵画にそれとなく現れるが、それを彼は直接的に生々しく描いている。
迫害の歴史を経験したポーランド人画家の叫びや祈りが聞こえてくる。もっと見たい方は→ https://art.vniz.net/en/beksinski/
前回に続き本の紹介を。前から欲しかったベクシンスキーの画集を買った。表紙の作品は、うねる海に浮かぶ棺桶のような石の船、切り立った城壁の上部が崩れた廃墟で、そこからはみ出している動物の死骸のようなものは皮膚がはがれ血管がむき出しになっている・・・「終焉の画家」とよばれるとうり、怖い絵だ。日本にはなくて西欧文化の奥底にはっきりとある「恐れ」はいろいろな絵画にそれとなく現れるが、それを彼は直接的に生々しく描いている。
迫害の歴史を経験したポーランド人画家の叫びや祈りが聞こえてくる。もっと見たい方は→ https://art.vniz.net/en/beksinski/
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