Watercolor Painting
水彩画家の K 氏は、日本の水彩画は「ガラパゴス水彩画」だと言っている。その意味は、多くの人が「水彩画とは線画に淡彩」だと思い込んでいて、もっと広い水彩画の可能性を知らないでいるという状況を指している。
初心者向けに水彩画の描き方を教えているある教本で、全編で「線画に淡彩」の手法と作例を教えている。まず物の輪郭を鉛筆で描いて、輪郭の中をていねいに色を塗っていく。だから絵は「塗り絵」のようだ。「ガラパゴス水彩画」の見本 。
”ガラパゴス島” の外に目を向けると、水彩画の可能性を最大限に活かしている名人がたくさんいる。水彩画の本家イギリスのジョン・ヤードレイはその一人で、水彩画特有の「光」の表現が素晴らしい。鉛筆の線画はせず、筆で直接デッサンをしているから、塗り絵的でなく、絵がいきいきしている。
もう一人の例は、同じくイギリスのトレバー・チェンバレンで、「ウェット・イン・ウェット」を使ったりして、水彩画ならではの「空気感」の表現が見事。物は空気に包まれていて、その境い目はあいまいだ。だから”ガラパゴス” 的に「線画」で物の輪郭をくっきり描いてしまうと「空気感」は出せない。
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