「Corsage」
”歴史もの” 映画が大好きなので、とりあえずと思って見にいったが、予想を超えて、はるかに面白かった。歴史上の人物であるエリザベート皇妃を伝記的にではなく、今生きているかのように生々しい「女性」として描いているのは女性監督(マリー・クロイッツアー)ならではだろう。主演女優(ヴィッキー・クリーブス)の力量もすごい。冒頭でいきなり、コルセットをぎゅうぎゅうに締め上げさせるエリザベートの胴体がクローズアップされる。映画の原題は「Corsage」つまり「コルセット」なのだ。40 歳になったエリザベートは ”美貌の皇妃” という世間のイメージを維持しようと躍起になっている。そして、厳格な皇室の伝統に縛られ、表面では取り繕ろっているが皇帝との夫婦関係は破綻している。「コルセット」は、そういう皇妃を縛り付け、自由を奪うもののシンボルなのだ。
お抱え画家にエリザベートが肖像画を描かせるシーンがある。それが歴史書によく登場する有名なこの絵だ。美しい姿だが、やはりウェストの細さが強調されている。
この時代は、社会が近代化して自由主義の時代になり、帝政政治は時代遅れになり、やがて第一次世界大戦でオーストリア帝国が崩壊する直前の時代だ。そういう時代を感じさせるシーンがある。エリザベートが、発明されたばかりの映画のモデルになって自分を撮影させるのだが、そこでは肖像画の時と違って、やんちゃな少女のように嬉々として野原を駆け回わる。束縛から解放されて自由になりたいエリザベートの願いを映し出している。
そして、皇帝、皇室、公務をすべて捨てて、自由を求めてヨーロッパ中を放浪するようになる。そして最期は・・・・(史実と変えてくるだろうと予想しながら見ていたが、案の定で、ドラマチックな終わりだった)
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