2023年6月7日水曜日

野球映画の親子のキャッチボール   「フィールド・オブ・ドリームス」と「ナチュラル」

 「Field of Dreams」「The Natural」

 MLB の試合を TV で見ていると、日本と違うアメリカの球場の様子がよくわかる。ほとんどの観客が家族連れで野球を楽しんでいる。だから観客席に子供が多いのが目立つ。

アメリカには野球映画が多いが、その中で、子供の頃に野球を教わった父親の思い出の話がよく登場する。映画評論家の川本三郎氏によれば、「アメリカの父親は男の子に三つのことを教えなくてはいけない。魚釣り、キャンプの火の起こし方、そしてキャッチボールだ。アメリカの男たちにとっては、父親とキャッチボールをした思い出は、子ども時代のもっとも幸福な財産である。」

「フィールド・オブ・ドリームス」は、子供の頃に父親に連れられて野球を見に行ったことから野球好きがこうじて、自分の農園の中に私設の野球場を作ってしまい、そこに往年のスター選手たちの亡霊が集まって野球をやるという野球愛に満ちたファンタジー映画だ。そのラストで、主人公(ケヴィン・コスナー)の父親の亡霊が現れるのだが、子供の頃にキャッチボールを教わった時のままの自分より若い姿の父親とキャッチボールをする。大人になって「子ども時代の幸福な財産」が再現している。


「ナチュラル」は、天才的な才能に恵まれながらも、ある事件でメジャーデビューが果たせなかった選手(ロバート・レッドフォード)が、中年になってから初めてプロになり、大活躍するというサクセスストーリーの野球映画だ。主人公が子供の頃、父親とキャッチボールをするシーンの回想から映画は始まる。田舎の田園風景のなかで、野良仕事を終えて家に帰ってきた父親が、子どもとキャッチボールをする。夕暮れの柔らかい光で、黄金色に輝く小麦畑のシーンはユートピアのように美しい。それはアンドリュー・ワイエスの描いたアメリカの原風景のようで、父とのキャッチボールもまた子ども時代の原風景をつくっている。


映画の終わりで、主人公は引退して故郷に戻り、死んだ父と同じ場所で農園をやっている。そして再び父子のキャッチボールのシーンになる。父は、大人になった主人公(生涯結婚しなかった)だが、子の方は誰・・・


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