2023年3月18日土曜日

「陰謀論とニセ科学」

「 Conspiracy Theory and Fake Science」

陰謀論が世界的に流行しているが、なかでも有名なのが「Qアノン」で、彼らは目に見えない闇の権力が世界を支配しようと企んでいると信じこんでいる。コロナのワクチンも政府が国民を統制するために仕組んだ陰謀だとして、強力な反ワクチン運動を行なったが、その理由として、ワクチンを打つと5年以内に死ぬという ”科学的な” 根拠を主張している。陰謀論は「ニセ科学」と結びつきやすいが、この本はそのような事例をたくさんあげて、騙されないようにと警告している。

日本人は ”科学っぽいもの” に惹かれやすい傾向があって、科学的に無茶苦茶だったとしても、 ”科学的雰囲気” を醸し出した宣伝にコロッと騙されやすい、と同書は言っている。とくに健康、食品、医療、薬品などの分野での「ニセ科学」をたくさん取り上げている。コロナ禍で「新型コロナに効く」「免疫力をあげる」などといった健康食品の宣伝が横行しているが、すべて科学的根拠がまったく無いものだ。 

数年前に亡くなったスティーブ・ジョブスの例が出てくる。まだ初期段階の小さい癌が検査で見つかったが、医師に勧められた手術を拒否して、カルト宗教の神霊療法などを信じて試し続けた。その期間9ヶ月の間に全身に転移してしまい、結局死んでしまう。合理的な考えができるはずのジョブスでさえ怪しげな療法を信じてしまった結果だが、宗教もまた「ニセ科学」と結びつきやすい。

日本でも最近、教義で輸血を禁じている宗教団体「エホバの証人」の信者が、自分だけでなく自分の子供にも輸血をさせないことが問題になっている。事故などで大怪我をした子供に輸血をさせずに結果的に見殺しにしてしまう。ところが逆に、命を救うために親の反対を押し切って輸血をした医師が親に提訴されるという事案が何度もおきている。


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