2020年8月18日火曜日

「ぎっしり・びっしり」の部屋「MUSEUM」の始まり

 Museum

ヨーロッパの王侯貴族たちが、世界中から集めた珍しい動物・植物・鉱物などを陳列した部屋を作った。これが「MUSEUM」(博物館)の始まりだった。見たことのない珍品が天井まで部屋を埋め尽くしている。見る人を圧倒したので「驚異の部屋」(ヴァンダーカンマー)と呼ばれたが、それは「ぎっしり・びっしり」の陳列のおかげだった。

MUSEUM に陳列された物の情報は、本という形にされて、凝縮された「知識」としてまとめられていく。百科事典が生まれたのもこのころだった。それらの本を集積した大規模な図書館が生まれる。下はウィーンの「宮廷図書館」だが、やはり天井まで「ぎっしり・びっしり」と本が並んでいる。古今東西のあらゆる知識がここにあることを示し、王権の権勢を誇っている。

1 8 世紀になると、王侯貴族がコレクションした絵画を展示する博物館ができ、それが美術館の始まりになる。美術館は「Museum of Art」というように、あくまで博物館の一種だった。だから同じ考え方で、「ぎっしり・びっしり」と埋め尽くすように陳列した。今のようにゆとりをもって作品を一つずつ鑑賞できるようになるのはずっと後のことだ。

(収蔵品の無い「国立新美術館」が、国際標準からして「Meseum」と呼ぶことができない理由は上のような歴史からきている。「ぎっしり・びっしり」どころか、空っぽのただの貸画廊だから、英語名を「The Ntional Art Center, Tokyo」という苦しい名前にせざるを得ない。)


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