2019年3月27日水曜日

「野口久光 シネマ グラフィックス」展

Movie poster by Hisamitsu Noguchi

横須賀美術館へ野口久光の映画ポスター展を観にいった。野口は高校の大先輩で、東京芸大を卒業後、東和映画宣伝部に入り、ヨーロッパ映画のポスターを描き続け、戦前・戦後を通してほとんどすべての洋画を一人で手がけた。作品のかなりが見た覚えがあり、学生の頃観た「第三の男」や「禁じられた遊び」などははっきり記憶に残っている。


フランスのオリジナルポスターの展示もあり、野口の日本版と比較できる。モジリアニの生涯を描いた「モンパルナスの灯」などで違いがよくわかる。オリジナルは手描きであっても表現が写真的なのに対して、野口はあくまで絵画的だ。俳優の顔の鉛筆スケッチが多数あったが、しっかりしたデッサンが基礎になっているのがわかる。タイトル文字も、フランス版の活字に対して、手描き文字で、手描きらしさにこだわっている。

やがて時代が変わり、映画ポスターは写真や CG に移っていくにつれて、野口の活躍も1960 年代までで終わる。見る人のイマジネーションを刺激する絵画的ポスターの終わりは、映画自体が「物語」でなくなっていった変化と無関係でない思う。

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