ミラノの冬季オリンピックの開会式を見ていたが、選手の入場行進は、どの国も選手たちがてんでんバラバラに笑いながら手を振っている。しかしこのスタイルになったのはわりと最近のことで、思い出すと、1964 年の東京オリンピックでは、日本も含めどの国も整然と列を作って行進していた。笑ったり手を振ったりしていない。軍隊の分列行進と同じだ。
この軍隊式行進を始めたのは 1036 年ベルリン・オリンピックからだ。ベルリン大会の記録映画「民族の祭典」で、各国の行進の様子を見ることができる。それは第二次世界大戦の直前という時代の国際情勢を反映していて、面白い。
ベルリン大会はヒトラーのプロパガンダ大会と呼ばれ、特に開会式の演出はナチスドイツの国威発揚の場して最大限に利用された。そしてこの記録映画自体も、ヒトラーお気に入りの女性監督リナ・リーフェンシュタールによるプロパガンダ映画だった。ドイツ選手団が入場してくると、VIP 席のヒトラーは「ハイル」の手を上げる。すると観客全員が立ち上がって「ハイル・ヒトラー」の声が嵐のように鳴り響く。
ドイツの敵対国イギリスは、イギリス海軍の軍服を着ていて、普通の敬礼をしている。フランスはベレー帽のカジュアルなユニフォームだが、敵対国なのに「ハイル・ヒトラー」をしている。それで観衆は大喜びする。しかしこの手の挙げ方は、挙げ方の角度が違い「ハイル・ヒトラー」ではなく、IOC の敬礼の仕方だったという面白いエピソードがある。
今の時代、世界中どんなスポーツ大会でもこのような国威発揚的で軍隊的入場行進はない。日本の高校野球以外は。
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