Painting leaving person
日経新聞. 文化欄の「〜の絵画 10 選」のシリーズはとても勉強になるが今回は、「去り行くものを描く 10 選」だった。去ってゆく人を惜しむことをテーマにした絵画10 作品の解説がされている。その中で、ゴッホの「ゴーギャンの肘掛け椅子」が興味深かった。
ゴッホは一時期、大親友のゴーギャンと同居していたが、しばらくしてゴーギャンは去ってしまう。絶望したゴッホは自分の耳を切ってしまう有名な事件を起こしたが、その直前に描いたのがこの絵だという。ゴーギャンが去ってゆくのを予感し始めたゴッホは、ゴーギャンがいつも座っている椅子の上に燭台のローソクを置いて描いた。その光が、ゴッホのわずかな希望の象徴だったという。
この「去り行くものを描く10 選」にもうひとつの絵が紹介されていた。サミュエル・ルーク・フィルズという人の「空っぽの椅子」だ。この画家は知らなかったし、こんな絵も初めて見る。この絵が、上記ゴッホの絵と重要な関連があるという。
ゴッホは若い頃、英国の絵入り新聞「ザ・グラフィック」を愛読していたそうだ。それに魅了されて一時は自分も挿絵画家を志したほどだったというから面白い。その新聞に掲載されていたのが、このルーク・フィルズの「空っぽの椅子」で、絶大な人気のあった文豪ディケンズが死んだ時に、追悼のために描いたのがこの作品だという。ディケンズの椅子にはもう誰も座っていない。
ゴッホはこの絵に感銘を受けていた。後に盟友ゴーギャンが去った時に、愛惜を込めて描いたのが冒頭の「ゴーギャンの肘掛け椅子」で、この絵の影響だったそうだ。
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