Pictogram of Expo
大阪万博が終わったが、「オール・ジェンダー・トイレ」のピクトグラムがひどいと批判を浴びているというので、ネットで見てみたが、なるほどビックリだ。下図のように、何やら怪しげな人間の姿が並んでいる。これを見て意味を理解できる人はいないだろう。どうやらいろんな国の衣装を着た男女の姿を描いているらしい。
最近、ジェンダー平等の社会的な流れのなかで、公共施設でオール・ジェンダー・トイレを見かけるようになった。そのため、従来の「男子」「女子」のほかにもうひとつ新しい「ピクトグラム」が必要になり、いろいろなデザインが試みられている。下はその例だが、まだ決定打がないようだ。
ピクトグラムは「視覚言語」と呼ばれる。案内表示板で日本語と英語と中国語の言語表示だけでは、その他の国はどうしてくれるんだ、となってしまう。だから言語に頼らないで、見ればわかるピクトグラムという「視覚言語」が必要になる。特にオリンピックや万博のような国際イベントでは重要だ。
世界標準機構(ISO)は工業製品の世界標準化を推進している国際機関だが、その中にピクトグラムの標準化をはかる部門がある。たくさんのピクトグラムが世界標準に制定されて、国際的に使われている。この世界標準化で、日本はたくさんの貢献をしてきた。1964 年の東京オリンピックで、文字に頼らず見るだけで意味が理解できる「ピクトグラム」の開発が行われた。日本のトップデザイナーが集結してデザインされたピクトグラムは、やがて世界標準になり、その後の各国のオリンピックや万博で使われ、また各国の空港や駅などの公共施設でも使われている。
もうひとつ有名な例をあげると、「非常口」のピクトグラムだ。世界標準機構が標準を決める時に、各国デザイン案のコンペになった。結果的に日本提案のデザインが標準として採用されて、現在では世界中で使われている。この時、日本は緻密な検討を重ねてデザインを進めた。例えば火事が起きて施設内に煙が充満した時のピクトグラムの見え方=「視認性」を確かめるために、実際に煙を出して見る実験まで行った。ちなみに下図左は日本案と競ったソ連案だが、複雑すぎて「視認性」が劣る。
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