「1984」
「1984」をあらためて見た。強権専制国家の恐怖政治を描く SF ディストピア映画で、何度見ても恐ろしい。この映画はヒトラーやスターリンを下敷きにした、ジョージ・オーウェルの小説「1984年」をもとにしている。この古い映画が最近、いろいろな論評で引き合いに出されるようになった。それは、プーチンや習近平やトランプなどの専制政治が頭をもたげてきて、この映画の社会が再び現実のものになるのではという恐れがあるからだ。
映画は「ビッグブラザー」と呼ばれる独裁者が、街角に設置され TV スクリーンで演説し、群衆が熱狂している。その下には「戦争は平和だ」「自由は奴隷だ」とスローガンが掲げられている。この独裁者は隣国への侵略戦争をしかけている。そして国民の各家に監視モニターをつけて常時監視している。監視と恐怖で個人の自由を完全に奪っている。
ヒトラーは大衆を扇動するのにラジオを使ったことは有名だが、この映画では TV が人々を洗脳する役割をしている。そして今、情報の手段はさらに変わり、インターネットと SNS で大衆動員を効率的に行えるようになった。トランプ大統領が SNS で国会議事堂を襲撃しろと号令をかけると何百人もの人たちが暴徒になって本当に国会へ乱入した。また中国が AI を使ったフェイク情報や情報統制で、世論を操ったりしている。全員がスマホを持ってネットを見ている現在、統治者による情報統制は、この映画の各家につけられた監視モニターよりもっと簡単にできる。
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