「SHOGUN」
エミー賞を受賞したドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」を、 DISNEY+ の動画配信で全10話を見終わった。秀吉が死んだ後、家康(映画では虎永)が「関ヶ原の戦い」に勝って実権を握るまでの、戦国大名たちの権力闘争がスートーリーの軸になっている。基本的には史実に沿いながらも、フィクションを大幅に織り込んでいて、スケール感が大きいドラマだ。
主役は「鞠子(マリコ)」(主演女優賞のアンナ・サワイが好演)で、有名な「細川ガラシャ」をモデルにしている。「細川ガラシャ」は、明智光秀の娘で、「本能寺の変」の後、信長による明智家一族の絶滅を逃れてひとり生き残り、カソリックのキリスト教信者になる。映画の「鞠子」も、時代の運命に翻弄されながらも、その運命を受け入れながら生きてゆく「強い女」として描かれている。胸の十字架に注目。
武家の妻や娘は常に懐に懐剣を持っていて、いざという時には敵と戦い、負ける時には名誉のために自害するためだった、という事実はよく知られている。鞠子も同じで、侍たちの先頭に立って敵と闘い、最後には自らの命を犠牲にして死ぬ。女性は守られるべき弱いものという西欧的女性観とは反対の強く激しい日本女性像をこの映画は描いている。もうひとりの主役が、ジョンという、遭難して漂着した船乗りのイギリス人で、こちらはウィリアム・アダムス(三浦按針)をモデルにしている。按針は家康に認められ、旗本に取り立てられ領地を与えられる。その地が三浦半島だったので「三浦按針」と呼ばれる。家康の外交顧問になった按針は、カソリック教会が、アジアや南米を植民地化する尖兵になっているという当時の世界情勢を家康に説明し警告した。家康はそれに従い、交易国をプロテスタント国のオランダに限るという外交政策に転換した。映画もその史実通りのストーリーになっている。
映画では、ジョンが虎永(家康)と話す時の通訳を務めるのが鞠子で、この二人の関係がドラマ全体の主軸になっている。やがて二人は心を通じ合っていき・・というメロドラマ的展開はハリウッド的だが。
なおラストでジョンが沈没した船を引き上げるシーンが出てきて、それに乗って故郷イギリスへ帰ることを示唆して終わるが、これは史実ではない。三浦按針は生涯を日本で生きて、現在も彼の墓(安針塚)が横須賀市にある。
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