2024年9月3日火曜日

防災の日と、関東大震災の時に起きた事件

 The earthquake disaster of 1923

一昨日の9/ 1 は国が決めた「防災の日」だが、関東大震災の日にちなんでいる。震災は自分ではもちろん経験していないが、なんとなく身近に感じるのは、母親が当時、東京の大学に通っていた女学生で、震災当日に目の当たりにした惨状を子供のころよく聞かされたからだ。また母親の実家が、千葉県の、東京に隣接する町だったので、祖父が、家を焼け出されて東京から避難してきた人たちのことをよく話していた。

映画「福田村事件」は、祖父が話していたのと同じような状況のもとで起きた事件を実話に基づいて描いていた。千葉県の福田村でも震災の被災者が東京から避難して来たが、その中の一団を朝鮮人だと勘違いして虐殺してしまった事件だ。実際は彼らは田舎から来た行商人だったのだが。

関東大震災の時、朝鮮人が放火したせいだとか、朝鮮人が略奪をしているなどの「デマ情報」が広まり、パニックにおちいった人々による朝鮮人の大虐殺が各地で起きた。のどかな福田村でもそれが起きてしまった。群衆心理の恐ろしさだが、その引き金になったのが関東全域に広まっていたデマ情報だった。そしてさらに、純朴な村人たちをたきつけて虐殺までにいたらせたのは、村の有力者や警察だった。

そもそも当時は、政府が国民に対して日常的に反朝鮮人感情を煽りたてていた。そして新聞がそれをさらに増幅する報道をしていた。デマ情報があっという間に広がり、それを国民が簡単に信じてしまったのはそういう素地があったからだ。(写真は、さまざまな事件の犯人を朝鮮人だと決めるつける当時の新聞記事。歴史研究者の樋浦郷子氏による資料。



この映画は、去年の 2023 年9月1日の「防災の日」に公開された。しかし国が定めた「防災の日」の趣旨には大虐殺のことについてはまったく触れていない。そもそも政府の公式見解では、「虐殺の事実を裏付ける確実な証拠は見つかっていない」としている。そして ”共犯者” だった新聞も知らん顔をしている。

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