2024年9月9日月曜日

台湾の「台北二二八紀念館」と 映画「悲情城市」

 Taipei 228 Memorial Museum   &「 A City of Sadness」

台北の総統府の近くをぶらぶら歩いていたら、大きな公園があり、その片隅に樹々に囲まれてこじんまりした建物があった。「台北二二八紀念館」とあったので入ってみたが、名前ぐらいしか知らなかった「二二八事件」の詳細な記録を展示している。日本語の音声ガイドもあり、事件の真相を初めて知ることができた。

第二次世界大戦が終結して日本が去ると、入れ替わりのように中国から国民党政府が入ってきて台湾を支配下におく。その政府は台湾人を弾圧し、抵抗する市民たちを虐殺したのが「二二八事件」だ。殺されたのは、ほとんどが日本式の教育を受けた知識人たちで、彼らが抵抗グループの中心だった。

戦後ながらく国民党の独裁専制政治が続いていたので、この事件が封印されされていたが、民主化されて初めて明るみに出て、この「紀念館」ができた。


この「二二八事件」を一般庶民の目を通して描いた映画が 1989 年の「悲情城市」だ。日本の次に今度は中国に支配された台湾人の悲しみを描いている。ヴェネチア映画祭でグランプリを受賞した台湾映画の名作だ。

小学校で「ふるさと」を日本語で歌っていたり、青年が「岩波文庫」の本を読んでいるシーンが出てくる。戦後も「日本」がまだそのまま残っている。そして中国が入ってきて「二二八事件」が起き、人々は過酷な政治状況に巻き込まれていく。主人公とその友人たちも逮捕され、次々と処刑されていく。また一部の若者たちは、九份(今は人気の観光地)の山中に逃れるが、やがて発見されて逮捕されてしまう。彼らは日本の歌謡曲「ゴンドラの唄」を歌いながら死んでいく・・・

この「二二八事件」は現在の、台湾と中国との緊張関係のルーツのようなものだ。この「紀念館」と、この映画を見ることで、単に歴史としての台湾ではなく、その歴史につながっている現在の台湾(日本との関係も含めて)を知ることができる。


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