「Alexander Nevsky」
中世のロシアは周辺の国々から脅かされていたが、侵攻してきたドイツ軍を英雄アレクサンドル・ネフスキーが撃破して国を救うという歴史絵巻大作だ。
映画は 1939 年制作で、ソ連とナチスドイツが第二次世界大戦で激突する直前の時代だった。歴史映画でありながら、戦争へ向けて、国民の戦意高揚をねらった国策的プロパガンダ映画だ。だから映画は、ドイツ軍をナチスになぞらえている。ドイツの司教の帽子にナチスのマークがついている。中世にナチスなど存在しなかったのに。
エイゼンシュタインは「イワン雷帝」も撮っている。これもロシア周辺の国を次々に征服してロシアを大国にしたイワン雷帝を描いた歴史映画だ。外国の大使に向かって雷帝が威嚇しているシーンで、壁に威圧的な影があり机には雷帝の野望を表わす地球儀がある。
これは1945 年の制作で、第二次大戦でロシアがナチスドイツに勝った年で、”強いロシア” が映画に反映されている。だからスターリンはこの映画を絶賛した。
「アレクサンドル・ネフスキー」のエンディングで、凱旋したネフスキーが国民に向かって叫ぶ。『ロシアは健在だ。誰もが恐れることなく訪れればいい。だが、剣を携えて来る者がいれば剣にて滅ぼされよう。ロシアは今もこれからもこの信念を変えることはない。』 なるほど、 21 世紀の現代でもプーチン大統領にこの信念は受け継がれているようだ。
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