2024年3月5日火曜日

”隠れている” 円を見つけて描く

Hidden Circle

絵画で、鉛筆をかざして目測で対象のプロポーションを測ることがよく行われる。このイラストは、古代エジプトの絵画教室という架空の風景で、昔ながらの方法を多少の皮肉を込めて描いている。「目測」とは文字どうり「目で測る」ことだから、目に見えていない物は測ることができない。しかし世の中には目で見えない物を見ないと正しく描けない物がたくさんある。いくつか例をあげてみる。



人物画で、モデルをいくら見ても、見えるのは顔の表面だけだから、目や口の位置や大きさなどの見えていない顔の「構造」を見る技術が必要になる。

人間の頭は卵形だから、水平面で輪切りにすると断面は円になる。目も口もその円の上に乗っている。それを押さえて描くと、目測よりも正確に描ける。そしてどんなポーズにも応用できる。

見えていない「円」を見つけて利用すると、役に立つことが多い。色々な例をあげてみる。



回転椅子の例だが、特に4本の脚は放射状で、しかも上下方向にも角度がついていて目測で正しく描くのはとても難しい。脚の先端は、隠れている「円」の上に乗っている。それを見つけて、ガイドにして描くといい。また円の中心は座面の中心と同じ軸上にあることも重要。



ベルギーの画家ハンマースホイは室内画をたくさん描いたが、ほとんどの絵で開いたドアを描いている。この「白い扉、ストランゲーゼ 30 番地」という作品は代表作の一つだが、3つの扉がすべて開いている。扉を開けることによって見える空間の奥行きを描いている。

開いているドアは遠近法で幅が縮む。その縮じみ具合はドアの開いた角度によって変わる。それを目測で描くのは難しい。左のドアはほとんど 90 度で開いているので幅が極めて狭くなっている。それが正しいかどうかをチェックしてみたが、やはり正確であることが分かる。このように回転するものには必ず「見えない円」が存在するので、色々なものに応用できる。



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