「Godzilla Minus One」and Godzilla history
「ゴジラ -1.0 」が今年のアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。「ゴジラ 70 周年記念」とうたっているが、その間に制作されたゴジラ映画は 30 本以上にのぼるそうだ。
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その第一号が 1954 年の「ゴジラ」だった。戦後まだ9年しか経っていないこのころ、漁船「第5福竜丸」が太平洋で、アメリカの水爆実験で被爆して船員が死亡した。当時、この事件が連日大きく報道されていたのを今でも覚えている。「ゴジラ」はこの事件をもとにしている。水爆実験で住処を失った太古の両棲類がよみがえったという設定だった。当時のポスターにも水爆大怪獣とか、放射能を吐く大怪獣といった言葉が躍っている。国際政治学者で映画評論家の村田晃嗣氏は解説している。「この映画が日本の反米・反核運動のきっかけになった。そしてこの年、すでに日米安保条約が締結されていたにもかかわらず、ゴジラの日本襲撃に在日米軍は出動しない。ゴジラ自身がアメリカを象徴しているとすれば、在日米軍がゴジラに立ち向かわないのは当然である。」
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それから 60 年後の 2014 年にハリウッド版「GODZILLA」が公開された。この映画では、ムートーという怪獣が登場するが、それは放射能を餌にして増殖する不気味な怪獣だ。東アジアで生まれたこの怪獣が太平洋を渡ってサンフランシスコに上陸して都市を破壊する。これに米軍が立ち向かうが全く歯がたたない。そこで日本の科学者(渡辺謙)が協力して、ゴジラに戦わせてムートーをやっつけることになる。死闘の末にゴジラが勝つ。そして最後に生まれ故郷のアジアに向かって去っていく。同じく村田晃嗣氏の解説。「この映画は、2001 年に起きた同時多発テロで高層ビルが破壊されたのと同じシーンがたくさん登場する。また 2011 年の東日本大震災での福島の原発事故そのままの場面も出てくる。ムートーの破壊行為は、自然災害や原発事故、国際テロを含んだ 21 世紀の新型の脅威の複合体なのだ。」
そして、「東アジア発のムートーには経済力・軍事力で巨大化する中国の脅威が投影されている。それに対抗する「GODZILLA」の名前には「GOD」(= 神)が含まれていることから、ゴジラは人類を救う「救世主」になっている。そして第1作と違って、日米両国は緊密に協力しあっている。映画が公開された 2014 年は、安倍首相のもとで、集団的自衛権行使を認める安保法制が成立した年であり、その日米の関係性が映画に反映されている。」という。
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2016 年には「シン・ゴジラ」が登場してヒット作になった。ゴジラ襲来に対応する政府の無能さと混乱ぶりが細かく描写されている。福島原発事故の時の政府の右往左往ぶりをそのまま再現している。
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