Figure perspective
第一次世界大戦時の、アメリカ陸軍の志願兵募集ポスター「 I WANT YOU 」はとても有名だ。描かれている人物はアンクル・サム(U. S. =United States)と呼ばれ、アメリカの国を擬人化した人間像だった。
このアンクル・サムの手が、見る人に向かって手前の方にグッと突き出している感じがよくわかり、デッサン力のある人が描いていることがわかる。このように手前に伸びているものを短く描くことで奥行きを表すのは「短縮法」と呼ばれる。遠近法の一種だが、直線要素のない人物画では線遠近法ではないので、そう呼ばれる。
レンブラントの「夜警」で、中央にいる隊長が手前に手を差し出しているのも同じ例だ。素人の人物画だと、「あれ、この人、手が短いの?」となってしまいがち(笑)だが、もちろんレンブラントはそんなことはない。
短縮法を極端に使った例は、1 5 世紀のマンテーニャという人の「死せるキリスト」で、横たわる人体を足元から見ている。遠近法が確立されるルネッサンス期以前の古い絵として、美術史によく出てくる。
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