Vaccine
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリによれば、「2 0 世紀初めに日本のエリート層が、貧しい人たちに予防接種をしたり、貧民街に病院と下水施設を建設するのに熱心だったのは、強力な軍隊と活発な経済を持つ大国になるには、何百万もの健康な兵士と労働者を必要としたからだ。」という。健康は、富国強兵のために、国が国民に与えるものだった。1割くらいの自己負担で済む今の健康保険制度もそこから来ているのだろう。
日本と真逆なのが極端な個人主義のアメリカで、先進国では唯一健康保険制度が無いのは、個人の健康に国が介入するなと国民が反対するためだ。カート・アンダーセンという人が「狂気と幻想のアメリカ 5 0 0 年史」で、そんなアメリカの実態について書いている。
国が義務付けたワクチン接種の拒否をする人たちが全人口の数割もいて、「反ワクチン」が政治運動化しているという。それは感染の拡大を助長するという科学的データを専門家が示してもガンとして受けつけず、宗教のようになっているという。その一方で、感染症が流行ると、早く免疫ができるようにと、密室に人がたくさん集まってウィルスを感染させ合う「百日咳パーテイ」などが開かれるというからすごい。今度のコロナでも、感染者があっという間に中国・イタリアを抜いてトップになったが、ワクチンが開発されても、アメリカだけは感染者が増え続けるかもしれない。
トランプ大統領の言う「地球温暖化は科学者のでっち上げだ」とか「ダーウィンの進化論は大ウソだ」などに拍手する国民が多いことと共通する「科学否定」の根強い風潮が根底にあるという。
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