「Face Value」& Gogh
人間の目は黒目の両側に白目があって横長だが、この縦横比は霊長類の中で最大だそうだ。地上で生活している人間にとって便利なように、眼球の左右方向の可動範囲が大きくなっている。樹上生活のオランウータンなどは、人間ほど横長でなく、上下も見やすくなっている。人間は逆に、眼球の動きだけで空を見ることができず、首を曲げて見上げなければならない。(以上「第一印象の科学」より)
人間はそういう目で世界を見ているから、絵画、写真、TV、映画、など画面は横長だ。
ゴッホの遺作とされる「カラスの群れ飛ぶ麦畑」は、縦横比が約2:1の超横長画面だ。反対方向へ向いている3本の道路が同時に描かれているから、眼球の可動範囲を超えていて、パノラマ写真並みだ。これは目で見た通りの風景ではなく、妄想で見た風景にちがいない。超横長の画面で全世界を表し、それが麦畑と空しかない空虚なものであることを表現しているのだろう。間もなく自殺するゴッホの心中を暗示しているようだ。
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