「コートールド美術館展」は、宣伝文句と違って、ポスト印象主義が多いので、かえって印象主義との違いがわかりやすい。むしろ 20 世紀絵画の方に近く、やはり「後期印象派」の言い方がふさわしくないことがわかる。
セザンヌの代表作「キューピッドの石膏像のある静物」はいい例。床が傾いていて奥のリンゴが転げ落ちそうに見えるが、ここだけは上方からの視点で描いているため。手前の静物は横からの視点で、両者がひとつに組み合わされている。いちばん左に立てかけてある絵に描かれている青い布が画面の外にはみ出てきて、手前の静物と合体している。複眼で対象を捉えたキュビズムの先駆け、と言われるのがうなずける。
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