2018年8月24日金曜日

映画の中の絵画

Conversation Piece

妻が学生だったとき、映画会社のアルバイトをしていて、仕事はセットに使う絵を描くことだったのだが、なんでもいいから適当にたくさん描いてと言われて、どうでもいい絵を量産したそうだ。日本映画が面白くない理由がこんなところにも現れているようだ。

映画のなかの絵は、なぜその絵なのかという意味に注目して観ると映画の面白さが増す。

ルキノ・ヴィスコンティ監督の「家族の肖像」の主人公は過去に結婚に失敗して人間嫌いになり今は孤独に生きている。自宅で知人と食事をするシーンで、後ろに家族の日常生活の光景を描いた絵が飾られている。この種の絵画は conversation piece といい、!8 世紀に家族の記念写真がわりとして大流行した。この絵によって、主人公が虚構の家族団欒に慰めを求めていることを表現している。監督の美術への知識とこだわりがうかがえる。

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