2017年5月13日土曜日

映画「美女と野獣」と「暗黒ディズニー入門」

"Beauty and the Beast"

「暗黒ディズニー入門」(高橋ヨシキ著)という本がとても面白い。ディズニー映画ファンにはおすすめだ。(ただタイトルの「暗黒」という言葉は内容とあまり関係ない)

ディズニーの魅力は幻想と現実を徹底的に混ぜ合わせることだという観点から代表作を読み解いている。いろんな作品に登場する「魔術」はその手段で、幻想を現実に転化し、現実を幻想に転化するというディズニー映画の根幹になっている。

さらにテクノロジーというもう一つの「魔術」の駆使だ。アニメーション・実写・CGなどを高度に融合させた映像テクノロジーによって、幻想と現実の境目が分からなくなってしまう。映画に映っているいかにも実写にしか見えないものが本当に実物なのかCGなのかを見分けるのは今では不可能だ。

その中で著者が特に重視しているのがマットペインティングの技術の進歩だ。かつては動かない背景画だったが、今では CG 化によって動かすこともできるようになり、さらに「写実性」と「ファンタジー性」を絶妙に混ぜ合わせた絵づくりによって、ディズニー映画の根幹である幻想と現実の融合を実現している。

今度の「美女と野獣」のメイキングが公開されているので、それと実作を比較すると、それがよくわかる。実写で撮っているのは室内や村の通りなどの狭い場所のシーンばかりなので、実作の壮大なスケールの城などはマットペインティングだとわかる。そして下の例のように俳優の実写映像が自然なかたちではめ込まれている。だからアニメの実写化といっているが実際はアニメと実写のハイブリッド作品だ。




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