2017年5月24日水曜日

映画にみる住まい(1)インテリアの色

Interior colors in movie

インテリアは住む人のキャラクターやライフスタイルを反映している。だから単なる場面の背景としてではなく、登場人物の「人」を表現する手段としてインテリアが使われることがある。その中でインテリアの「色」に重要な役割をもたせている映画3作。


「インテリア」("Interiors"  '78)
白い壁は暖色系のオフホワイトにするのが普通だが、映画ではインテリアデザイナーの妻が自宅の色すべてを寒色系の「アイスグレイ」に統一している。この冷たい色で部屋は秩序のある美しさがあるが、人を寄せ付けない雰囲気だ。それが心を閉ざしている彼女と、温かみのない家族関係を象徴している。夫は妻と別れ再婚するが、新しい妻は陽気な女性で、真っ赤な服装で現れる。この家の秩序を壊そうとするかのように。

「アメリ」("Amelie"  2001)
主人公の女性アメリは、自分だけの妄想の中に生きていて、他人との関わりに関心がない。彼女の部屋は壁も家具も真っ赤だ。普通、居室には調和や安らぎを求めるから、刺激の強い赤はあまり使わない。しかし、外界との調和より自分だけの世界にこもるアメリにはぴったり合っている。

「ジョンとメリー」("John and Mary"  '69)
アノニマス(無名性)が特徴のモダンデザインのインテリアでは、壁を白にして、家具の色をアクセントに使うのが定番。白はニュートラルで住む人の個性を主張しないからだが、家具デザイナーの主人公の部屋はまるでその見本だ。名前も知らないままここで一夜を過ごした二人だが、タイトルの「ジョンとメリー」は「太郎と花子」みたいなどうでもいい名前で、現代人の無名性を象徴している。

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