2025年8月23日土曜日

ロトチェンコに憧れていた昔の写真

 Photo Works of Student Days

 前回「写真」と「絵画」の関係について書いたなかで、写真に熱中していた学生時代にロトチェンコの作品に憧れていたことに触れた。そのついでとして今回は、当時の作品を紹介してみる。(2022 年に一度投稿したものを再編集。)今のようにスマホで気軽になんでも撮る時代ではなく、「作品」を作るような感覚で撮っていた。プリントも引き伸ばし機を買って自分でやっていた。


なにか面白いモチーフがないかと、あてずっぽうで競馬場へ行ってみた。馬券を買う人の列と、まわりにハズレ馬券が散らばっている光景を上から見おろすチャンスがあり、「これだ」と思ってシャッターを押した。人間と馬券が画面の中で面白い構成を作っている。「ロシア構成主義」といわれたロトチェンコの写真は、遠近法を基本にした絵画的な構図を排除して、奥行きや立体感をなくすアングルで撮った。それによって2次元的で平面的な画面構成をした。モチーフの人間や物は構成のための要素でしかない。


場所は忘れたが、どこかの海辺で撮った写真。オレンジフィルターを使って中間トーンを飛ばして、光と影のコントラストを強調した。そのことで、対象を「点」や「線」や「面」の幾何的形態に還元して、写真的なリアリティをなくし、画面構成に徹している。


ワイングラスをいろいろなアングルで撮って、それらのネガを複数枚重ねてプリントした。いわゆる「ダブルイメージ」だ。「構成主義」そのままの写真。



ロトチェンコは、遠近法を基本にした絵画的な写真を排除するために、対象を真上や真横から撮るアングルを多用した。それを真似したのがこの写真。どこかの駅の線路と乗務員用の通路を高いアングルから撮った。線路の水平線と通路の垂直線の交差による構成が面白い。点景の乗務員の位置も絶妙だ。


彫刻家の本郷新のアトリエを見学に行った時の写真。真夏の太陽の光と暗い岩の陰とで画面を真っ二つした大胆な構図だ。コントラストを強調するためにオレンジフィルターを使った。今見てもよく撮ったと思う一枚だ。


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