2025年8月1日金曜日

「投影図」で描いたギリシャ時代の肖像画

 Projection View

古代ギリシャ時代に人類史上初の肖像画が生まれた。小さな都市国家どうしの戦争が絶えなかった当時、戦場に出て行く兵士の面影を心に刻んでおくために、恋人が肖像画を描いた。兵士の横顔にろうそくの光を当てると、壁に影が映る。その影をなぞって絵を描いた。

この絵はその様子を後世の人が描いたものだが、状況がよくわかる。この方法だと顔のプロポーションが正確に描ける。そして人による変化が少ない正面図ではなく、必ず目鼻立ちの特徴が出やすい横顔を描いた。

3次元の物の形を2次元の平面上に表現するのには、「投影図」と「透視図」の2つの方法がある。今日我々が普通に使っている2つだが、ギリシャ時代には遠近法(perspective)が必要な「透視図」はまだなかったことがわかる。だから文字通り「影を投じて」描く「投影図」で描いた。

なお、今日の「プロフィール」 (profile) という言葉は、人間の経歴や人格を紹介するのに使われるが同時に、絵に描いた「横顔」の意味もあるのは、このギリシャ時代の名残りだ。