Radio Age
今年 2025 年は、放送開始 100 周年の年だという。1925 年3月にNHK がラジオ放送を開始した。子供の頃はラジオが唯一の娯楽だったが、今でも強く印象に残っている番組が連続ドラマの「鐘の鳴る丘」だった。小学2年生の時、毎日学校から帰ると3時から始まるこの番組を必ず聴いていた。戦後まもない頃の時代を反映した、戦争孤児とその収容施設の物語だった。
話は飛ぶが数年前に、信州の安曇野を車で走っていたら丘の上に立つある建物を見かけた。すると瞬間的に「鐘の鳴る丘」の建物だと思った。すぐにネットで調べてみると当たりで、ドラマのモデルになった建物を元通りに復元したものだった。テレビではなく、音だけのラジオで聴いていた建物を実際に見た時なぜそれと分かったのか。それはテーマ音楽にあると思う。番組の始めに流れる歌が今でも耳にこびりついているが、その歌詞はこうだった。
緑の丘の赤い屋根
とんがり帽子の時計台
鐘が鳴りますキンコンカン
メーメー小山羊も啼いてます
風がそよそよ丘の上
黄色いお窓はおいらの家よ
とんがり帽子の時計台
鐘が鳴りますキンコンカン
メーメー小山羊も啼いてます
風がそよそよ丘の上
黄色いお窓はおいらの家よ
「キンコンカン」「メーメー」「そよそよ」などの聴覚情報のほかに、「緑」「赤」「黄色」「とんがり」などの視覚情報がたくさん盛り込まれている。「眼に浮かぶ」という言い方があるが、視覚イメージが眼に浮かぶような歌詞になっている。歌によって頭の中にできていたイメージが実物とピッタリ合っていたのだ。視聴覚メディアのテレビがない時代に、ラジオという聴覚メディアの工夫だったのだろう。
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